After Effectsを使った動画制作において、作業効率を飛躍的に向上させる鍵となるのが「ショートカットキー」です。一つ一つの機能をマウスで操作する代わりに、キーボードショートカットを駆使することで、作業スピードが格段に上がり、クリエイティブな思考を中断することなくスムーズに作業を進めることができます。このガイドでは、After Effectsで頻繁に利用する必須ショートカットキーを網羅的に解説し、さらに効率的な学習方法や実践的なテクニックまでご紹介します。初心者から上級者まで、すべてのAfter Effectsユーザーの作業を加速させるための情報が満載です。
After Effectsショートカットの重要性:なぜプロはショートカットを駆使するのか?
After Effectsは多機能なソフトウェアであり、その複雑さゆえにマウス操作だけでは時間がかかりがちです。ショートカットキーを習得することは、単に時間を節約するだけでなく、以下のような多くのメリットをもたらします。
- 作業効率の劇的な向上: 頻繁に行う操作を瞬時に実行できるため、制作時間を大幅に短縮できます。これは、プロの現場で求められるスピード感に対応するために不可欠なスキルです。
- クリエイティブな思考フローの維持: マウスとキーボード間の手の移動が減り、思考が途切れることなく作業に集中できます。アイデアが浮かんだ瞬間に素早く形にできるため、より質の高い作品を生み出すことにつながります。
- 身体的負担の軽減と集中力向上: マウス操作の回数が減ることで、手首や腕への負担を軽減し、長時間の作業でも疲れにくくなります。また、視線移動が減ることで、画面への集中力も維持しやすくなります。
- プロフェッショナルな作業環境の構築: 多くのプロの映像クリエイターがショートカットを駆使しており、習得は業界標準のスキルと言えます。共同作業の際にもスムーズな連携が可能になり、自身のスキルアップにも繋がります。
ショートカットキーは、After Effectsを使いこなす上で避けては通れない道です。最初は覚えるのが大変に感じるかもしれませんが、一度身につけてしまえば、あなたのAfter Effectsでの作業は全く新しいレベルに到達するでしょう。プロの現場では、ショートカットを使いこなせるかどうかが、作業スピードとクオリティに直結すると言っても過言ではありません。
【厳選】After Effects必須ショートカットキー一覧
ここでは、After Effectsで特に使用頻度の高いショートカットキーをカテゴリ別にまとめました。WindowsとMacの両方に対応するキーを記載していますので、ご自身の環境に合わせてご活用ください。
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基本操作をマスターするショートカット
日々の作業で最も頻繁に使う基本的な操作のショートカットです。これらを覚えるだけでも、作業効率は大きく変わります。
操作 | Windows | Mac |
コピー | Ctrl + C | Command + C |
ペースト | Ctrl + V | Command + V |
複製 | Ctrl + D | Command + D |
カット | Ctrl + X | Command + X |
元に戻す | Ctrl + Z | Command + Z |
やり直し | Ctrl + Shift + Z | Command + Shift + Z |
保存 | Ctrl + S | Command + S |
別名で保存 | Ctrl + Shift + S | Command + Shift + S |
名前の変更 | Enter | Enter または Return |
レイヤープロパティの表示・非表示ショートカット
レイヤーのトランスフォームプロパティやエフェクト、マスクなどを素早く表示・非表示にするためのショートカットです。アニメーション作業の効率を大きく左右します。特に、複数のプロパティを同時に表示したい場合は、Shiftキーを押しながら各プロパティのショートカットを押すと便利です。
プロパティ | Windows | Mac |
アンカーポイント | A | A |
位置 | P | P |
スケール | S | S |
回転 | R | R |
不透明度 | T | T |
エフェクト | E | E |
キーフレームが設定されているプロパティ | U | U |
マスク | M | M |
エクスプレッション | EE (Eを2回) | EE (Eを2回) |
変更済みプロパティ | UU (Uを2回) | UU (Uを2回) |
全マスクプロパティ | MM (Mを2回) | MM (Mを2回) |
マスクの境界のぼかし | F | F |
オーディオレベル | L | L |

「EE」や「UU」、「MM」のように同じキーを2度押すショートカットは、素早く連続して押すのがコツです。タイミングが遅いと反応しないことがあるので、実際に操作して感覚を掴みましょう。また、MacではOptionキーを押しながらプロパティのショートカットを押すと、現在の再生ヘッドの位置にキーフレームを追加できます。
タイムラインと時間の操作ショートカット
タイムライン上での移動やレイヤーのトリミングなど、時間に関する操作はショートカットで効率化できます。特に、キーフレーム間の移動はアニメーション調整の際に頻繁に利用します。
操作 | Windows | Mac |
次のフレームに移動 | PageDown または Ctrl + → | PageDown または Command + → |
前のフレームに移動 | PageUp または Ctrl + ← | PageUp または Command + ← |
10フレーム先に移動 | Ctrl + Shift + → | Command + Shift + → |
10フレーム前に移動 | Ctrl + Shift + ← | Command + Shift + ← |
最初のフレームに移動 | Home | Home |
最後のフレームに移動 | End | End |
前のキーフレームに移動 | J | J |
次のキーフレームに移動 | K | K |
現在の時間にレイヤーのインポイントを移動 | [ | [ |
現在の時間にレイヤーのアウトポイントを移動 | ] | ] |
現在の時間にレイヤーのインポイントをトリミング | Alt + [ | Option + [ |
現在の時間にレイヤーのアウトポイントをトリミング | Alt + ] | Option + ] |
ワークエリアの開始時間を現在の時間に設定 | B | B |
ワークエリアの終了時間を現在の時間に設定 | N | N |
レイヤーのデュレーションにワークエリアを合わせる | Ctrl + Alt + B | Command + Option + B |
タイムラインを拡大 | ^ (ハット) | ^ (ハット) |
タイムラインを縮小 | – (ハイフン) | – (ハイフン) |

プレビューと再生に関するショートカット
作成中のアニメーションを確認するためのプレビュー操作も、ショートカットで素早く行えます。特にRAMプレビューは、実際の動きを確認するために頻繁に利用します。
操作 | Windows | Mac |
再生・停止 (RAMプレビュー) | テンキーの0 または Space | テンキーの0 または Space |
オーディオのみプレビュー | テンキーの. | テンキーの. |
新規作成と設定に関するショートカット
新しいコンポジションやレイヤーを作成する際のショートカットです。プロジェクトの立ち上げやレイヤーの追加をスムーズにします。
操作 | Windows | Mac |
新規コンポジション作成 | Ctrl + N | Command + N |
新規平面作成 | Ctrl + Y | Command + Y |
新規調整レイヤーの作成 | Ctrl + Alt + Y | Command + Option + Y |
新規ヌルオブジェクトの作成 | Ctrl + Alt + Shift + Y | Command + Option + Shift + Y |
新規カメラレイヤーの作成 | Ctrl + Alt + Shift + C | Command + Option + Shift + C |
新規ライトの作成 | Ctrl + Alt + Shift + L | Command + Option + Shift + L |
コンポジション設定 | Ctrl + K | Command + K |
平面設定 | Ctrl + Shift + Y | Command + Shift + Y |
アニメーションを滑らかにするイーズ関連ショートカット
キーフレームアニメーションの動きを滑らかにする「イージーイーズ」もショートカットで適用できます。グラフエディターと合わせて使うことで、より繊細なアニメーション表現が可能になります。
操作 | Windows | Mac |
イージーイーズ | F9 | F9 |
イージーイーズイン | Shift + F9 | Shift + F9 |
イージーイーズアウト | Ctrl + Shift + F9 | Command + Shift + F9 |
ツール切り替えとビュー操作のショートカット
After Effectsの様々なツールを素早く切り替えたり、コンポジションパネルの表示を操作したりするショートカットです。特に、手のひらツールやズームツールは頻繁に使うため、指に覚えさせると作業が格段にスムーズになります。
操作 | Windows | Mac |
選択ツール | V | V |
手のひらツール | H または Space (押しながら) | H または Space (押しながら) |
ズームツール | Z | Z |
回転ツール | W | W |
アンカーポイントツール | Y | Y |
シェイプツール (切り替え) | Q | Q |
ペンツール (切り替え) | G | G |
文字ツール | Ctrl + T | Command + T |
コンポジションをウィンドウにフィット | Shift + Ctrl + Alt + F | Shift + Command + Option + F |
選択しているパネルの全画面化 | @ | @ |

After Effectsショートカットを効率的に習得するための実践テクニック
After Effectsには非常に多くのショートカットが存在しますが、一度にすべてを覚える必要はありません。効率的に習得し、作業に定着させるためのポイントをご紹介します。
優先順位付けと段階的学習
まずは「コピー&ペースト」「複製」「プロパティ表示(P, S, R, T, U)」「再生・停止」など、日々の作業で頻繁に使うショートカットから覚え始めましょう。これだけでも作業効率は大きく向上します。慣れてきたら、少しずつ新しいショートカットを追加していくのが効果的です。
日々の習慣化と反復練習
意識的にショートカットを使う習慣をつけることが重要です。最初はマウスに手が伸びてしまうかもしれませんが、意識してキーボードを使うように心がけましょう。毎日少しずつでも繰り返すうちに、指が自然に動くようになり、無意識のうちにショートカットを使いこなせるようになります。
チートシートの活用とカスタマイズ
よく使うショートカットをまとめたリストをデスクトップに貼ったり、印刷して手元に置いたりするのも効果的です。また、After Effectsでは、キーボードショートカットを自由にカスタマイズできます。もし既存のショートカットが使いにくいと感じる場合は、自分にとって覚えやすいキーに割り当て直すことも検討しましょう。
カスタムショートカットの設定方法:
- After Effectsのメニューバーから「編集」>「キーボードショートカット」を選択します。
- 開いたウィンドウで、変更したいコマンドを検索窓に入力します。
- コマンド名の右隣にある「ショートカット」の欄をクリックし、割り当てたいキーを入力します。
- 設定後、プリセットを保存することで、次回以降も同じ設定で利用できます。

ショートカットキーは、日本語全角入力モードでは動作しません。必ず半角英数字入力モードに切り替えてから操作するように注意しましょう。これは意外と見落としがちなポイントです!
練習用AEPファイルの活用とAfter Effectsのダウンロード
このページでご紹介したショートカットは、After Effectsのどのプロジェクトファイルでも共通して利用できるものです。しかし、実際に手を動かして練習することで、より早くショートカットを習得できます。
練習用に以下のAEPファイルをご用意しました。様々なレイヤーのキーフレーム選択操作や、開始点・終了点への移動など、実際にショートカットを練習する際に自由にお使いください。After Effectsの学習中の方に、ぜひお役立ていただければ幸いです。
よくある疑問を解決!After EffectsショートカットQ&A
Q1: ショートカットキーが効かない時の対処法は?
A: ショートカットが効かない場合、以下の点を確認してください。
- 入力モード: キーボードが半角英数字入力モードになっているか確認してください。日本語入力モードではショートカットは機能しません。
- パネルの選択: 操作したいパネル(タイムラインパネル、コンポジションパネルなど)がアクティブになっているか確認してください。ショートカットによっては、特定のパネルが選択されていないと機能しない場合があります。
- キーの競合/割り当て: 他のアプリケーションやシステム設定で同じキーが割り当てられていないか確認してください。例えば、スクリーンショットツールなどがAfter Effectsのショートカットと競合しているケースもあります。また、After Effects内でカスタムショートカットを設定している場合、意図しない競合が発生している可能性もあります。After Effectsの「編集」>「キーボードショートカット」から確認・変更が可能です。
Q2: MacとWindowsでショートカットキーは違いますか?
A: はい、一部の修飾キーが異なります。Windowsの「Ctrl」はMacの「Command」に、Windowsの「Alt」はMacの「Option」に相当することが多いです。本記事の表では両方を記載していますので、ご自身のOSに合わせてご確認ください。
Q3: ショートカットを覚えるのにどれくらいの時間がかかりますか?
A: 個人差はありますが、毎日意識的に使うことで、主要なショートカットであれば数週間から数ヶ月で自然に使えるようになるでしょう。焦らず、少しずつ習慣化していくことが大切です。プロの映像クリエイターも、最初からすべてのショートカットを完璧に覚えているわけではありません。日々の作業の中で、必要に応じて新しいショートカットを習得していくのが一般的です。
Q4: カスタムショートカットは他のPCに移行できますか?
A: はい、可能です。After Effectsのカスタムショートカット設定はファイルとして保存されており、これを別のPCにコピーすることで、同じショートカット環境を再現できます。これにより、複数の作業環境を持つ方や、チームで同じショートカット設定を共有したい場合に非常に便利です。
After Effectsのショートカットをマスターすることは、あなたの映像制作スキルを次のレベルへと引き上げるための重要なステップです。最初は戸惑うかもしれませんが、継続的な練習と実践を通じて、必ずその恩恵を感じられるはずです。このガイドが、あなたのAfter