動画の中から特定の瞬間を切り出して静止画として保存する機能は、マニュアル作成、ブログ記事への埋め込み、SNS投稿、プレゼンテーション資料、あるいは単に思い出のワンシーンを写真として残したい時など、様々な場面で非常に役立ちます。かつてWindowsユーザーに広く親しまれた「Windows ムービーメーカー」には、この便利な「スナップショット」機能が搭載されていました。
しかし、Windows ムービーメーカーは現在、Microsoftによる公式サポートが終了しており、最新のWindows環境では利用できない場合がほとんどです。本記事では、ムービーメーカーのスナップショット機能の基本的な使い方を解説しつつ、現代のPC環境で動画から静止画を効率的かつ高画質で抽出するための多様な代替手段についても詳しくご紹介します。
Windows ムービーメーカーの「スナップショット」機能とは?(歴史的背景と現状)
Windows ムービーメーカーは、その直感的な操作性から多くのユーザーに愛用されていました。動画編集の途中で、特定のフレームを静止画として保存できる「スナップショット」機能も、その手軽さから重宝されていました。
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ムービーメーカーのスナップショット機能の概要
ムービーメーカーのスナップショット機能は、再生中の動画の任意の瞬間を、そのまま画像ファイル(JPEG形式など)として保存できる機能です。動画編集ソフトには同様の機能が搭載されていることが多いですが、ムービーメーカーでは特にシンプルに利用できました。この機能は、ムービーメーカーの「ホーム」タブに配置されていました。
ムービーメーカーのスナップショット機能は、動画のプレビュー画面に表示されている内容をそのまま画像としてキャプチャするものです。そのため、プレビュー画面のサイズやアスペクト比が、保存される静止画のサイズに影響しました。
ステップバイステップ解説:ムービーメーカーで静止画を保存する手順
ムービーメーカーを使って動画から静止画を保存する手順は非常に簡単でした。
1. ムービーメーカーを起動し、動画を読み込む
まず、ムービーメーカーを起動し、静止画を抽出したい動画ファイルをプロジェクトに読み込みます。「ホーム」タブの「ビデオおよび写真の追加」からファイルを選択するか、直接ドラッグ&ドロップで追加できます。
2. 静止画にしたいタイミングを選択する
動画のプレビュー画面下にある時間インジケータ(再生ヘッド)を、静止画として切り出したい正確なタイミングに合わせます。動画を一時停止し、スライダーを動かして微調整することで、目的のフレームを見つけることができます。
3. スナップショットボタンをクリックし、保存場所を指定する
目的のフレームが表示されたら、「ホーム」タブにある「スナップショット」ボタンをクリックします。すると、保存ダイアログが表示されるので、画像ファイルの保存場所とファイル名を指定して「保存」をクリックします。
4. 静止画の保存結果を確認する
指定した場所に画像ファイルが保存されていることを確認します。ムービーメーカーのスナップショット機能で保存された画像は、動画の再生プレーヤーのアイコンなどが写り込むことなく、純粋な動画のフレームを画像として抽出できるため、非常に便利でした。

ムービーメーカーは、初心者でも直感的に操作できるシンプルなUIが魅力でした。スナップショット機能も、その手軽さから多くのユーザーに愛用されていましたね。
ムービーメーカーの現状と代替手段の必要性
ムービーメーカーのスナップショット機能は非常に便利でしたが、現在ではその利用には注意が必要です。
ムービーメーカーは公式サポート終了済みで危険
Windows ムービーメーカーは、Microsoftが無料で提供していた動画編集ソフトですが、**2017年1月10日に公式な配布とサポートが終了しています。** そのため、現在Windows 10やWindows 11には標準で搭載されておらず、Microsoftの公式サイトからダウンロードすることもできません。
もし「ムービーメーカーがダウンロードできる」と謳う非公式なサイトを見つけても、ウイルスやスパムウェアが仕込まれている可能性が非常に高く、個人情報流出や高額請求といった被害報告も確認されています。 絶対にダウンロードしないようにしてください。
なぜ代替手段を知るべきか?
ムービーメーカーが利用できない現代のPC環境において、動画から静止画を抽出するには代替手段を知っておくことが不可欠です。また、代替手段の中には、ムービーメーカーよりも高画質で抽出できたり、より高度な編集機能を備えていたりするものも多く存在します。
- **最新OSでの利用:** Windows 10/11やmacOSなど、最新のOS環境で問題なく作業を行いたい場合。
- **高画質での抽出:** 元の動画の品質を最大限に活かした高画質な静止画を抽出したい場合。
- **多機能な編集:** 静止画抽出だけでなく、動画のトリミング、エフェクト追加、テキスト挿入など、より高度な動画編集も同時に行いたい場合。
- **手軽な操作性:** ムービーメーカーのようにシンプルで直感的な操作性を求める場合。

現代のPCで動画から静止画を切り出す方法【Windows編】
ムービーメーカーが利用できない現在でも、Windows PCで動画から静止画を切り出す方法は多岐にわたります。ここでは、代表的な方法をいくつかご紹介します。
1. Windows標準機能「フォト」アプリで切り出す
Windows 10/11には標準で「フォト」アプリが搭載されており、これを使って動画から簡単に静止画を切り出すことができます。 特別なソフトをインストールする必要がないため、最も手軽な方法の一つです。
**操作手順:**
- 静止画を切り出したい動画ファイルを右クリックし、「プログラムから開く」から「フォト」を選択して開きます。
- 動画が再生されたら、静止画にしたいシーンで一時停止します。
- 画面上部のメニューにある「編集と作成」または「…」(その他のオプション)をクリックし、「写真の保存」または「フレームの保存」を選択します。
- 保存場所を指定して、静止画を保存します。

Windowsの「フォト」アプリは、動画再生だけでなく、簡単な編集や静止画の切り出しもできる優れものです。手軽に済ませたい方には特におすすめですよ。
2. VLC Media Playerで静止画を切り出す
VLC Media Playerは、無料で利用できる高機能なメディアプレーヤーですが、動画再生中にスナップショットを撮る機能も備えています。
**操作手順:**
- VLC Media Playerで動画を開きます。
- 静止画にしたいフレームで動画を一時停止します。
- メニューバーの「ビデオ」から「スナップショットを撮る」を選択します。
- 静止画はVLCの設定で指定された保存先に自動的に保存されます(デフォルトは「ピクチャ」フォルダなど)。
3. スクリーンショット機能(Print Screen / 切り取り&スケッチ)を活用する
OSに標準搭載されているスクリーンショット機能も、動画から静止画を切り出す汎用的な方法です。
- **Windows:** キーボードの`Print Screen`キーを押すか、`Windowsキー + Shift + S`で「切り取り&スケッチ」ツールを起動し、範囲を指定してキャプチャします。
この方法は非常に手軽ですが、動画再生プレーヤーのインターフェース(再生ボタン、シークバーなど)が画像に写り込んでしまう可能性があるため、用途によっては不向きな場合があります。
現代のPCで動画から静止画を切り出す方法【Mac編】
Macユーザーであれば、標準搭載されているアプリや機能を利用して動画から静止画を抽出できます。
1. Mac標準機能「写真」アプリで切り出す
Macの「写真」アプリを使えば、動画から簡単に高画質な静止画を書き出すことができます。
**操作手順:**
- 「写真」アプリで動画を開きます。
- スライダーを動かして、静止画として書き出したいフレームに再生ヘッドを合わせます。
- メニューバーの「ファイル」から「書き出す」を選択し、「フレームをピクチャに書き出す」を選びます。
- 「ピクチャ」フォルダにTIFFファイルとして保存されます。
2. iMovieで静止画を切り出す
iMovieはMacユーザーにとって手軽な動画編集ツールであり、動画から特定のフレームを高品質な静止画として切り出す機能も備えています。
**操作手順:**
- iMovieに動画を読み込み、タイムラインに配置します。
- 静止画にしたいフレームで再生ヘッドを停止させます。
- 「ファイル」メニューから「共有」を選択し、「イメージ」または「フレームを保存」を選びます。
- 保存場所とファイル名を指定して保存します。
3. QuickTime Playerで静止画を切り出す
QuickTime Playerでも、動画のフレームをコピーして画像として保存することが可能です。
**操作手順:**
- QuickTime Playerで動画を開きます。
- 静止画にしたいフレームで動画を一時停止します。
- 「編集」メニューから「コピー」を選択します。
- プレビューアプリなどを開き、「ファイル」メニューから「新規(クリップボードから)」を選択し、画像として保存します。
4. スクリーンショット機能(Command+Shift+4など)を活用する
MacにもWindowsと同様に、画面のスクリーンショットを撮る機能が標準搭載されています。
- **Mac:** `Command + Shift + 4`を押して、キャプチャしたい範囲をドラッグして選択します。全画面を撮る場合は`Command + Shift + 3`です。
この方法も、動画再生プレーヤーのインターフェースが写り込む可能性がある点に注意が必要です。
高画質・多機能な動画編集ソフトを活用する
より高画質で抽出したい場合や、静止画抽出と同時に動画編集も行いたい場合は、多機能な動画編集ソフトの利用がおすすめです。これらのソフトは、ムービーメーカーではできなかった高度な編集も可能です。
Filmora
Filmoraは、初心者から中級者まで幅広く利用されている動画編集ソフトで、シンプルなインターフェースと豊富なエフェクトが特徴です。 直感的な操作で高画質な静止画抽出が可能です。
Filmoraは、動画のトリミング、エフェクト追加、テキスト挿入など、基本的な編集からAI機能を使った高度な編集まで幅広く対応しており、動画編集初心者でもプロ級の作品が作れると評価されています。
PowerDirector
PowerDirectorは国内シェアNo.1の動画編集ソフトで、直感的な操作と豊富な機能が魅力です。 ムービーメーカーからの移行もスムーズに行えるよう、分かりやすい編集画面が特徴です。
VideoProc Converter AI
VideoProc Converter AIは動画処理に特化した専門ソフトで、高画質な静止画抽出が可能です。 直感的なUIで初心者でも扱いやすいと評価されており、4K動画からの静止画切り出しにも対応しています。
VLC Media Player
VLC Media Playerは無料のメディアプレーヤーですが、動画再生中にスナップショットを撮る機能も備えています。 手軽に静止画を切り出したい場合に便利です。
AviUtl
AviUtlは無料ながら高機能な動画編集ソフトで、プラグインを追加することでさらに多くの機能を利用できます。 細かい設定が可能で、こだわりの静止画を抽出したい場合に選択肢となります。
これらのソフトの多くは、動画の特定のフレームを画像として出力する機能を備えています。また、オンラインで動画から静止画を抽出できる無料ツールも存在します。


動画から静止画を切り出す際のワンポイントアドバイス
動画から静止画を切り出す際に、より良い結果を得るためのアドバイスをいくつかご紹介します。
画質を考慮する
切り出す静止画の画質は、元の動画の解像度に大きく依存します。高画質な動画から切り出すほど、鮮明な静止画が得られます。 また、使用するツールによっても出力される静止画の品質が異なる場合があります。例えば、OS標準のスクリーンショット機能よりも、専用の動画編集ソフトの方が高画質で抽出できる傾向があります。
ファイル形式の選択
静止画の保存形式は、一般的にJPEGやPNGが選択できます。
- **JPEG:** 容量が小さく、WebサイトやSNSでの利用に適しています。圧縮率が高いため、写真などの複雑な画像に適していますが、繰り返し保存すると画質が劣化する可能性があります。
- **PNG:** 背景透過に対応し、画質劣化が少ないため、ロゴやイラスト、スクリーンショットなど、よりクリアな画像が必要な場合に適しています。 容量はJPEGよりも大きくなる傾向があります。
用途に合わせて適切な形式を選びましょう。
用途に応じたツールの使い分け
「手軽にサッと切り出したい」のであればOS標準の「フォト」アプリやスクリーンショット機能、「高画質で細かく調整したい」「他の編集も同時に行いたい」のであれば専門の動画編集ソフト、といったように、目的に応じてツールを使い分けることが重要です。

動画から静止画を切り出す際は、その静止画を何に使うのかを考えると、最適なツールや画質、ファイル形式を選びやすくなりますよ。
著作権への配慮
他者が作成した動画や、著作権で保護されたコンテンツから静止画を切り出す場合は、著作権に配慮し、私的利用の範囲に留めるか、権利者の許諾を得るようにしましょう。特に、商用利用や公開目的の場合は注意が必要です。

まとめ
Windows ムービーメーカーのスナップショット機能は、動画から静止画を簡単に抽出できる便利な機能でしたが、現在では公式サポートが終了しており、利用にはセキュリティ上のリスクが伴います。そのため、その代替手段を知っておくことが非常に重要です。
Windowsの「フォト」アプリやMacの「写真」アプリ、iMovie、QuickTime PlayerといったOS標準機能から、FilmoraやPowerDirector、VideoProc Converter AIなどの多機能な動画編集ソフトまで、現代では様々な方法で動画から静止画を切り出すことが可能です。それぞれのツールの特徴を理解し、ご自身の目的やPC環境に合った最適な方法を選ぶことで、動画編集の幅がさらに広がるでしょう。動画のワンシーンを切り取って、あなたのクリエイティブな活動にぜひ役立ててください。