かつて多くのWindowsユーザーに親しまれた無料の動画編集ソフト、Windowsムービーメーカー。その直感的な操作性から、特にYouTubeに動画をアップロードしたい初心者にとって、手軽に動画編集を始められるツールとして重宝されていました。
しかし、2017年1月10日にMicrosoftによる公式サポートが終了して以来、ムービーメーカーを取り巻く状況は大きく変化しました。現在では公式サイトからのダウンロードはできず、利用にはセキュリティ上の大きなリスクが伴います。
この記事では、Windowsムービーメーカーの現在の状況と、なぜ利用が推奨されないのかを詳しく解説します。そして、2025年現在、より安全で高機能なYouTube動画編集におすすめの代替ソフトを厳選してご紹介。さらに、動画編集の基本的な流れからYouTubeへのアップロード方法まで、初心者の方でも安心して動画投稿を始められるよう、具体的なステップを解説します。ぜひ最後までご覧いただき、あなたの動画クリエイターとしての第一歩を踏み出す参考にしてください。
Windowsムービーメーカーの現状と利用の危険性
Windowsムービーメーカーは、その手軽さから多くのユーザーに愛されましたが、2017年1月10日をもってMicrosoftの公式サポートが完全に終了しています。これは、新たな機能追加やバグ修正、セキュリティアップデートが一切提供されないことを意味します。
公式サポート終了とダウンロードの現状
現在、Windows 10や11にはムービーメーカーは標準搭載されていません。 かつては「Windows Essentials」という無料ソフトの一部として提供されていましたが、このサービス自体が終了しています。
インターネット上には、今でも「ムービーメーカーを無料でダウンロードできる」と謳う非公式なサイトが多数存在します。しかし、これらのサイトからのダウンロードは極めて危険です。

非公式なサイトからのダウンロードは、ウイルス感染、マルウェアの侵入、個人情報漏洩、さらには詐欺被害に遭うリスクが非常に高いです。絶対に利用しないようにしましょう。
セキュリティリスクと機能的限界
公式サポートが終了しているため、ムービーメーカーは最新のOS環境での動作が保証されていません。予期せぬエラーや強制終了、保存できないといったトラブルが発生する可能性があります。
また、機能面でも現代の動画編集ソフトと比較すると大きく見劣りします。ムービーメーカーは基本的なカット編集やスライドショー作成には対応できますが、YouTube動画で求められる以下のような高度な機能は利用できません。
- 高度な音声編集(ノイズ除去、複数トラックでの詳細な音量調整など)
- 複雑なアニメーション(キーフレームを使った細かな動きの制御)
- クロマキー合成(グリーンバック)
- マルチトラック編集(複数の動画や音声を同時に重ねて編集する機能)
- 4K動画編集への安定した対応
これらの理由から、安全かつ効率的にYouTube動画を編集するためには、最新の代替ソフトの利用を強く推奨します。
【2025年最新版】YouTube動画編集におすすめの代替ソフト
Windowsムービーメーカーの代替となる動画編集ソフトは、無料から有料まで多岐にわたります。ここでは、あなたの目的やスキルレベルに合ったソフトを見つけるためのポイントと、おすすめのソフトをご紹介します。
代替ソフト選びのポイント
動画編集ソフトを選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
- 使用するPCのOS・スペック: Windows、Mac、または両方に対応しているか。PCの処理能力が動画編集に耐えうるか。
- 必要な機能: 簡単なカット編集で十分か、高度なエフェクトやアニメーションが必要か。
- 価格: 無料で始めたいか、有料ソフトに投資するか。有料ソフトには無料体験版がある場合が多いです。
- 操作難易度: 初心者向けか、ある程度の知識が必要か。
- YouTube連携機能: 編集した動画を直接YouTubeにアップロードできる機能があるか。
無料の代替ソフト
まずは無料で動画編集を始めたい方におすすめのソフトです。
Windows標準搭載「フォト」アプリ(ビデオエディター)
Windows 10/11に標準搭載されている「フォト」アプリには、簡易的な動画編集機能「ビデオエディター」が備わっています。 ムービーメーカーの代替として、基本的なトリミング、結合、BGM追加、テキスト挿入などが可能です。
Windowsユーザーであれば追加のダウンロード不要で手軽に始められるため、ごく簡単な動画編集やスライドショー作成には十分活用できます。
Windows標準搭載「Clipchamp」
Windows 10/11の一部のエディションには、Microsoftが提供する新しい動画編集ソフト「Clipchamp」が標準搭載されています。 クラウドベースのサービスで、直感的なインターフェースと豊富なテンプレートが特徴です。 無料版でも基本的な編集機能が利用でき、有料プランにアップグレードすることでより多くの機能や素材が利用可能になります。
VideoProc Vlogger
完全無料で利用できる高機能な動画編集ソフトです。4K/8K動画にも対応し、トリミング、クロップ、結合といった基本機能に加え、手ブレ補正、ノイズ除去、色調補正、モーションパス、クロマキー合成など、無料とは思えないほど豊富な機能を備えています。 初心者でも直感的に操作しやすいインターフェースも魅力です。
Shotcut
オープンソースで開発されている無料の動画編集ソフトで、Windows、Mac、Linuxに対応しています。多機能でありながら無料で利用できる点が魅力ですが、操作に慣れるまでには少し時間がかかるかもしれません。
DaVinci Resolve
ハリウッドのプロも使用する高機能な動画編集ソフトで、無料版でも非常に多くのプロレベルの機能が利用できます。 カラーグレーディング、VFX(視覚効果)、モーショングラフィックス、オーディオポストプロダクションなど、高度な編集を追求したい方におすすめです。ただし、PCのスペックが求められ、操作難易度はやや高めです。
無料ソフトでも、基本的な編集から高度な機能まで、様々な選択肢があります。まずはいくつか試してみて、ご自身のPC環境や使いやすさに合ったものを見つけるのがおすすめです。
有料の代替ソフト(無料体験版あり)
より高度な編集や充実したサポートを求める方には、有料ソフトの導入も検討しましょう。多くの場合、無料体験版が提供されています。
PowerDirector
国内シェアNo.1を誇る人気の動画編集ソフトで、初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されています。 直感的な操作画面と豊富なエフェクト、テンプレート、AI機能が特徴で、短時間でプロ並みの動画を作成できます。 YouTubeへの直接投稿機能も備わっています。
Filmora
初心者でも簡単にプロ品質の動画が作れると評判のソフトです。 AI機能が充実しており、豊富なエフェクト、トランジション、BGM素材が用意されています。YouTube動画の作成に特化した機能も多く、SNS連携もスムーズです。
Adobe Premiere Pro
業界標準とも言えるプロ向けの動画編集ソフトです。 高度な編集機能、豊富なエフェクト、他のAdobe製品との連携が強みです。YouTubeクリエイターやプロの映像制作者に多く利用されています。 サブスクリプション形式で提供されます。
VideoStudio Pro
Corel社が提供する動画編集ソフトで、初心者から中級者向けに設計されています。 360度編集、クロマキー合成、マルチカム編集など、ムービーメーカーにはない多くの機能が搭載されており、基本的な編集から一歩進んだ動画作成が可能です。
主要動画編集ソフト比較表
主要な動画編集ソフトの比較を以下の表にまとめました。
ソフト名 | 特徴 | 価格帯 | 操作難易度 | YouTube連携 |
---|---|---|---|---|
Windows フォト (ビデオエディター) | Windows標準搭載、簡易編集 | 無料 | 簡単 | PCに書き出し後アップロード |
Clipchamp | Windows標準搭載、クラウドベース、テンプレート豊富 | 無料版あり(有料プランあり) | 簡単 | 直接アップロード可能 |
VideoProc Vlogger | 完全無料、4K/8K対応、高機能 | 無料 | 簡単 | 直接アップロード可能 |
Shotcut | オープンソース、多機能 | 無料 | 慣れるまで時間がかかる | PCに書き出し後アップロード |
DaVinci Resolve | プロレベル、高機能(無料版あり) | 無料版あり(有料版あり) | やや難しい | PCに書き出し後アップロード |
PowerDirector | 国内シェアNo.1、AI機能、テンプレート豊富 | 有料(無料体験版あり) | 簡単~中級 | 直接アップロード可能 |
Filmora | 初心者向け、AI機能充実、エフェクト豊富 | 有料(無料体験版あり) | 簡単 | 直接アップロード可能 |
Adobe Premiere Pro | 業界標準、プロ向け、高度な編集 | 有料(サブスクリプション) | 難しい | 直接アップロード可能 |
YouTube動画編集の基本ステップ(汎用的な解説)
ここからは、ムービーメーカーを含む多くの動画編集ソフトに共通する、YouTube動画編集の基本的な流れを解説します。ムービーメーカーの画像を使用していますが、概念は他のソフトでも応用できます。
動画素材の取り込み方法
YouTube動画の作成を始めるには、まず編集したい動画や写真などの素材をソフトに取り込みます。自分で撮影した動画、写真、ダウンロードしたフリー素材など、複数の素材をまとめてドラッグ&ドロップで取り込むのが最も簡単です。
クリップの順番整理と基本構成
取り込んだ動画や写真クリップは、タイムライン上でドラッグ操作で簡単に順番を入れ替えることができます。YouTube動画のストーリーに合わせて、まずは大まかな素材の配置を整理しましょう。この段階で動画全体の流れをイメージすることが重要です。
不要なシーンのカット(トリミングと分割)
YouTube動画では、視聴者の離脱を防ぐためにも不要なシーンをカットすることが重要です。多くの動画編集ソフトでは、「トリミング」ツールを使って動画の不要な部分を簡単に除去できます。また、「分割」機能を使えば、動画を途中で区切り、必要な部分だけを抽出することも可能です。

視覚効果(エフェクト)の追加
動画にデザイン的な要素を加えたい場合は、エフェクトを追加できます。多くのソフトには、モザイクやぼかし、色調変更、フィルターなどのエフェクトが用意されており、動画の雰囲気を変えたり、特定の箇所を強調したりするのに役立ちます。

アニメーション効果(パン&ズーム)の活用
動画や写真にズームやパンといった動きを加えることで、単調になりがちな映像に動きを与え、視聴者の注目を引きつけることができます。特に写真を動画に組み込む際に効果的です。多くのソフトでは、キーフレームを使ってより細かな動きの調整が可能です。

シーン切り替えをスムーズにするトランジション効果
動画のシーンが切り替わる際に、視覚的な変化を加えるのがトランジション効果です。様々なトランジションが用意されており、時間の経過や場所の移動などを表現できます。視聴者がスムーズに動画の内容を理解できるよう、効果的なトランジションを選びましょう。
動画の顔となるタイトルとキャプションの挿入
YouTube動画において、タイトルや字幕は視聴者の興味を引き、内容を伝える上で非常に重要です。多くの動画編集ソフトでは、動画内にテキストを自由に配置できます。
タイトルの追加と編集
動画の冒頭やセクションの区切りにタイトルを追加できます。多くのソフトでは、背景色や画像、アニメーションを自由に設定し、チャンネルの印象を強めるようなオリジナリティあふれるタイトルを作成できます。

キャプションの追加と編集
動画内に説明や字幕を加えたい場合は、キャプション機能が便利です。画面内のどこにでもテキストを配置できるため、動画の内容に合わせて適切な位置にキャプションを挿入し、視聴者の理解を深めましょう。
キャプションのアニメーション編集
挿入したキャプションには、アニメーションやデザイン的な表現を追加できます。多くのソフトに用意されているテキスト専用のアニメーションを活用し、YouTube動画に合わせた動きやデザインを加えましょう。