AviUtl(エーブイアイ・ユーティーエル)は、無料で高機能な動画編集ソフトとして、多くの動画クリエイターに長年愛用されています。その最大の魅力は、「プラグイン」と呼ばれる拡張機能によって、標準機能では実現できない高度な編集や、多様なファイル形式への対応が可能になる点です。例えば、AviUtl単体では読み込めないMP4形式の動画ファイルも、プラグインを導入することでスムーズに読み込み、編集、さらにはMP4形式での出力まで可能になります。
このガイドでは、AviUtlをさらに強力なツールへと進化させるためのプラグインのインストール方法を、初心者の方でも迷わないように徹底的に解説します。必須プラグインの紹介から、よくあるトラブルとその解決策、さらには最新の導入補助ツールまで、あなたの動画編集を次のレベルへと引き上げるための実践的な情報が満載です。
AviUtlの導入から基本的な使い方については、以下の記事も参考にしてください。
AviUtlプラグインとは?その重要性と種類を徹底解説
AviUtlのプラグインは、例えるならスマートフォンのアプリのようなものです。標準機能だけでは物足りない部分を、追加でインストールすることで補い、より快適で効率的な動画編集を実現します。
プラグインを導入することで、以下のようなメリットがあります。
- 対応ファイル形式の拡張: MP4やWMV、MOVなど、標準で読み込めない動画・音声ファイルを扱えるようになります。
- 出力形式の多様化: YouTubeなどへの投稿に最適な高品質なMP4形式での出力(エンコード)など、選択肢が広がります。
- 編集機能の強化: ノイズ除去、色調補正、リサイズ、特殊エフェクトなど、より専門的な編集が可能になります。
- 作業効率の向上: プレビューの高速化やウィンドウの統合など、快適な編集環境を構築できます。
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プラグインの主な種類と役割
AviUtlのプラグインには、主に以下の5種類があります。それぞれ役割が異なりますので、目的に応じて適切なプラグインを選びましょう。
- 入力プラグイン (.aui): 動画や音声ファイルをAviUtlに読み込むためのプラグインです。MP4などの形式を読み込むために必須となる「L-SMASH Works」などがこれに該当します。
- 出力プラグイン (.auo): 編集した動画を特定のファイル形式で出力するためのプラグインです。MP4出力に欠かせない「x264guiEx」や「かんたんMP4出力」などが代表的です。
- フィルタプラグイン (.auf): 映像や音声にエフェクトをかけたり、加工したりするためのプラグインです。ノイズ除去や色調補正、リサイズなど多岐にわたります。
- 色変換プラグイン (.auc): 画像データの入出力時の色空間を変換するプラグインです。
- 言語拡張リソース (.aul): AviUtlの表示言語などを変更するプラグインです。

プラグインはAviUtlの機能を飛躍的に向上させますが、導入しすぎると動作が重くなる可能性もあります。本当に必要なものから順に導入し、動作を確認しながら進めましょう。
【基本】AviUtlプラグインの基本的なインストール手順
ここからは、AviUtlにプラグインをインストールする基本的な手順を解説します。多くのプラグインはこの方法で導入できますが、一部例外もありますので、必ず各プラグインの配布元サイトの指示も確認してください。
ステップ1:プラグインフォルダの新規作成
AviUtlにプラグインをインストールする準備として、まず「plugins」という名前のフォルダをAviUtl本体があるフォルダ内に作成します。このフォルダは初期状態では存在しないため、手動で作成する必要があります。
- AviUtlのフォルダ(
aviutl.exe
がある場所)を開きます。 - フォルダ内の空白部分を右クリックします。
- 「新規作成」から「フォルダ」を選択します。
- フォルダ名を「plugins」と入力し、Enterキーを押します。
【重要ポイント】フォルダ名は「plugin」ではなく、必ず「plugins」と複数形(sが付く)で入力してください。
ステップ2:プラグインファイルのコピー&ペースト
作成した「plugins」フォルダに、ダウンロードしたプラグインのファイルをコピーすることでインストールが完了します。
- プラグインのダウンロード: 信頼できる配布サイトから目的のプラグインをダウンロードします。
- ファイルの解凍: ダウンロードしたファイルはほとんどの場合、ZIP形式などで圧縮されています。解凍ソフトを使って展開してください。
- ファイルのコピー: 展開したフォルダの中身を確認し、必要なファイルを「plugins」フォルダにコピーします。どのファイルをコピーすべきかは、プラグインによって異なります。通常、「readme.txt」などの説明ファイルに記載されていますので、必ず確認しましょう。
【注意点】
- フォルダごとコピーするのではなく、フォルダの中身のファイル(例:
.aui
,.auo
,.auf
などの拡張子を持つファイルや関連DLLファイル)を直接「plugins」フォルダに入れるのが一般的です。 - 一部のプラグイン(例: 拡張編集プラグイン、patch.aul、x264guiExなど)は、「plugins」フォルダではなく、AviUtl本体と同じフォルダに配置する必要があります。
ステップ3:AviUtlの再起動と確認
プラグインの検索と認識はAviUtlの起動時に行われます。そのため、プラグインを追加した後は必ずAviUtlを一度終了し、再起動してください。
再起動後、以下の手順でプラグインが正しく認識されているか確認しましょう。
- AviUtlを起動します。
- メニューバーの「ファイル」から「環境設定」を選択し、「入力プラグインの優先度の設定」や「出力プラグイン情報」などを確認します。
- 導入したプラグインの名前が表示されていれば、インストールは成功です。

Windowsの再起動は不要ですが、AviUtl本体の再起動は必須です。これを忘れると「プラグインが認識されない」というトラブルの原因になります。
【2025年最新版】AviUtlで動画編集を始めるなら必須のプラグイン
AviUtlを快適に使うためには、いくつかの「必須級」と言われるプラグインがあります。これらを導入することで、動画編集の幅が格段に広がります。
プラグイン名 | 種類 | 主な機能 | 導入場所 |
---|---|---|---|
拡張編集プラグイン (exedit.auf) | フィルタプラグイン | タイムラインと設定ダイアログを追加し、動画編集の基本機能を提供します。AviUtlで本格的な動画編集を行う上で最も重要なプラグインです。 | AviUtl本体と同じフォルダ |
L-SMASH Works (L-SMASH Works.auiなど) | 入力プラグイン | MP4、MOV、WMVなど、様々な動画・音声ファイルをAviUtlで読み込めるようにします。 | pluginsフォルダ |
x264guiEx (x264guiEx.auoなど) | 出力プラグイン | 高品質なMP4形式で動画を出力(エンコード)できるようにします。YouTubeなどへの投稿に最適です。 | AviUtl本体と同じフォルダ |
patch.aul (patch.aul) | 言語拡張リソース | AviUtlの様々なバグを修正し、動作を安定させ、パフォーマンスを向上させます。 | AviUtl本体と同じフォルダ |
InputPipePlugin (InputPipePlugin.aui) | 入力プラグイン | L-SMASH Worksの動作を別プロセスで行うことで、メモリ使用量を削減し、動作を軽くする効果があります。特に長尺動画の編集時にメモリ不足によるエラーを回避するのに役立ちます。 | L-SMASH Worksと同じフォルダ(pluginsフォルダ内) |
【経験談】これらの必須プラグインは、AviUtlを導入したらまず最初に入れるべきものです。特に「拡張編集プラグイン」がないと、タイムラインでの編集作業ができません。また、「L-SMASH Works」と「x264guiEx」は、現代の動画ファイル形式に対応するために不可欠であり、これらがないとMP4の読み込みや出力ができず、実用性が大きく損なわれます。
AviUtlの全体像や、拡張編集プラグインのより詳細な導入方法については、以下の記事もご覧ください。


プラグイン導入時のよくあるトラブルと解決策
プラグインの導入は比較的簡単ですが、初心者の方がつまずきやすいポイントもいくつか存在します。ここでは、よくあるトラブルとその解決策をご紹介します。
トラブル1:プラグインが認識されない・表示されない
「pluginsフォルダに入れたのに、AviUtlで使えない!」という場合に考えられる原因と対策です。
- AviUtlの再起動忘れ: 最も多い原因です。プラグインを追加したら、必ずAviUtlを一度終了し、再起動してください。
- フォルダ名の誤り: 「plugins」フォルダの名前が「plugin」など、間違っていると認識されません。正確に「plugins」と入力されているか確認しましょう。
- ファイルの配置場所の誤り: プラグインによっては「plugins」フォルダではなく、AviUtl本体と同じフォルダに配置する必要があります(例: 拡張編集プラグイン、x264guiEx、patch.aul)。各プラグインの配布元の指示を再確認してください。
- ファイルの解凍忘れ/不完全: 圧縮されたままのファイルや、解凍が不完全な場合は認識されません。必ず完全に解凍し、中身のファイルをコピーしましょう。
- 必要なDLLファイルがない: プラグインによっては、別途DLLファイル(Visual C++ 再頒布可能パッケージなど)のインストールが必要な場合があります。エラーメッセージを確認し、必要なランタイムをMicrosoftの公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。
- AviUtlのバージョンが古い/新しい: プラグインが特定のAviUtlバージョンにのみ対応している場合があります。AviUtl本体や拡張編集プラグイン、そして導入しようとしているプラグインが最新版であるか、または互換性があるかを確認しましょう。
- 入力プラグインの優先度設定: L-SMASH Worksなどの入力プラグインは、AviUtlの「ファイル」→「環境設定」→「入力プラグインの優先度の設定」で優先度を調整する必要がある場合があります。通常はL-SMASH Worksを一番上に設定しますが、他のプラグインとの競合で読み込めない場合は、優先度を下げて試すことも有効です。
トラブル2:AviUtlが起動しない・強制終了する
プラグイン導入後にAviUtlが不安定になったり、起動しなくなったりする場合の対処法です。
- 問題のプラグインを特定する: 最近追加したプラグインを一つずつ「plugins」フォルダから外し、AviUtlが正常に起動するか確認します。問題のプラグインを特定できたら、そのプラグインの導入を諦めるか、別のバージョンを探すなどの対応を検討します。
- 「ウィンドウの位置を初期化」を試す: 拡張編集のウィンドウが画面外に移動してしまい、操作できない場合に有効です。AviUtlのメニューから「ファイル」→「環境設定」→「ウィンドウの位置を初期化」を選択します。
- メモリ不足: 特に高解像度の動画を扱う場合や、多くのプラグインを導入している場合に発生しやすいです。AviUtlのシステム設定で「最大画像サイズ」や「キャッシュサイズ」を見直したり、不要なプラグインを削除したりすることで改善する場合があります。
- Visual C++ 再頒布可能パッケージの不足: 一部のプラグインは、特定のVisual C++ランタイムライブラリを必要とします。エラーメッセージにDLLファイル名(例: MSVCP140.dll)が表示される場合は、対応するVisual C++ 再頒布可能パッケージをMicrosoftの公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。

トラブルが発生した際は、焦らず一つずつ原因を潰していくことが重要です。特に、新しいプラグインを導入する際は、そのプラグインの配布サイトに記載されている「よくある質問」や「トラブルシューティング」の項目も確認するようにしましょう。
【初心者におすすめ】AviUtl Package Manager (APM) を使った簡単導入
「手動でのプラグイン導入は少し複雑で不安…」と感じる方には、「AviUtl Package Manager (APM)」の利用がおすすめです。APMは、AviUtl本体や拡張編集プラグイン、さらには多くの必須プラグインやスクリプトの導入を補助してくれるツールです。
APMを使えば、以下のメリットがあります。
- 一括ダウンロード・インストール: 必要なファイルをまとめてダウンロードし、適切な場所に自動で配置してくれます。
- バージョン管理: プラグインのバージョン管理もサポートし、最新版への更新も容易になります。
- トラブル軽減: 手動でのミスを減らし、導入時のトラブルを大幅に軽減できます。
APMの導入方法や使い方は、APMの公式サイトや解説記事を参考にしてください。
AviUtlのダウンロードからプラグイン導入までをより簡単に進めたい方は、以下の記事も参考にしてください。

まとめ:AviUtlプラグインで動画編集の可能性を無限に広げよう
AviUtlのプラグインは、無料でありながらプロレベルの動画編集を可能にする強力なツールです。MP4ファイルの読み込み・出力から、高度なエフェクト、作業効率の向上まで、その恩恵は計り知れません。
この記事で紹介した基本的なインストール方法と必須プラグイン、そしてトラブルシューティングの知識があれば、初心者の方でも安心してAviUtlの機能を最大限に引き出すことができるでしょう。もし手動での導入に不安がある場合は、AviUtl Package Managerのような補助ツールを活用するのも賢い選択です。
ぜひ、様々なプラグインを試して、あなたの動画編集の可能性を広げてください。そして、感動的な動画作品を世に送り出しましょう。