無料でありながらプロレベルの動画編集が可能な「AviUtl」。多くのクリエイターに愛用されていますが、その真価を発揮するには、いくつかの初期設定が欠かせません。特に、デフォルトの状態では高解像度の動画を扱えなかったり、操作性が悪かったりすることがあります。
この記事では、AviUtlを使い始める前に必ずやっておくべき必須の初期設定と、さらに快適な動画編集環境を構築するための最適化設定を、プロの動画クリエイターの視点から徹底解説します。これらの設定を行うことで、読み込みエラーや動作の重さといったトラブルを未然に防ぎ、スムーズでストレスフリーな編集作業を実現できます。
【必須】動画編集の幅を広げる「最大画像サイズ」の設定
AviUtlの初期設定では、読み込める画像や動画の最大解像度が「1280×720」に制限されています。これは、現在の主流であるフルHD(1920×1080)はもちろん、4K(3840×2160)といった高解像度の素材を扱う上で大きな障壁となります。この設定を変更しないと、せっかく用意した高画質の動画や写真が読み込めなかったり、「1280×720を超える画像サイズのファイルは編集できません。」というエラーが表示されたりする原因となります。
現在のデジタルカメラやスマートフォンの多くはフルHD以上の解像度で撮影できるため、この設定はAviUtlを導入したら真っ先に変更すべき項目と言えるでしょう。
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最大画像サイズの設定手順
この設定は、AviUtlの「システムの設定」から変更できます。
- AviUtlを起動し、メニューバーの「ファイル」をクリックします。
- 「環境設定」にカーソルを合わせ、「システムの設定」を選択します。
- 表示された「システムの設定」ウィンドウ内にある「最大画像サイズ」の項目を探します。
ここに「幅」と「高さ」の数値を入力します。フルHDの動画を扱う場合は「幅:1920 / 高さ:1080」と入力しましょう。もし4K動画を扱う予定がある場合は、「幅:3840 / 高さ:2160」または、将来的な解像度アップやエフェクトによるサイズ拡張を見越して「幅:4000 / 高さ:4000」程度に設定しておくのがおすすめです。
設定が完了したら「OK」をクリックし、AviUtlを一度終了して再起動することで設定が反映されます。

高解像度設定は、単に大きなファイルを読み込むだけでなく、エフェクトをかけた際に画像が途切れるのを防ぐ効果もあります。少し大きめに設定しておくと安心ですよ。
【必須】作業効率を劇的に向上させる「再生ウィンドウ」の最適化
AviUtlの初期状態では、動画の再生ボタンがメインウィンドウに表示されておらず、「表示」メニューから別途「再生ウィンドウ」を表示させる必要があります。動画編集において再生確認は頻繁に行う操作であり、この一手間は作業効率を著しく低下させます。
メインウィンドウ内で直接再生できるように設定することで、一般的な動画編集ソフトと同じような感覚でスムーズに作業を進めることが可能になります。これにより、編集中のプレビュー確認が格段に快適になります。
再生ウィンドウの最適化手順
この設定も「システムの設定」から行います。
- AviUtlを起動し、メニューバーの「ファイル」をクリックします。
- 「環境設定」にカーソルを合わせ、「システムの設定」を選択します。
- 「システムの設定」ウィンドウ内にある「再生ウィンドウの動画再生をメインウィンドウに表示する」の項目にチェックを入れます。
チェックを入れたら「OK」をクリックし、AviUtlを一度終了して再起動することで、メインウィンドウ内で動画が再生されるようになります。

再生・一時停止はスペースキー、コマ送りは左右の矢印キーなど、ショートカットキーを覚えるとさらに効率が上がります。ぜひ活用してみてください。
【重要】動作を快適にする「キャッシュサイズ」の設定
AviUtlで動画編集を行う際、特にプレビュー再生がカクカクしたり、動作が重く感じたりすることがあります。これは「キャッシュサイズ」の設定が適切でないことが原因の一つです。キャッシュとは、動画や音声のデータを一時的にメモリに保存し、高速で処理するための領域のことです。このキャッシュサイズを適切に設定することで、AviUtlの動作を大幅に改善し、快適な編集環境を実現できます。
キャッシュサイズの設定手順
「システムの設定」から「キャッシュサイズ」の項目を変更します。
- 「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」を開きます。
- 「キャッシュサイズ」の項目に、PCのメモリ容量に応じた数値を入力します。
推奨されるキャッシュサイズは、お使いのPCのメモリ(RAM)の50%〜75%程度です。例えば、メモリが8GB(8192MB)の場合、4000MB〜6000MB程度に設定すると良いでしょう。メモリが4GBの場合は2000MB〜3000MB、16GBの場合は6000MB〜8000MBが目安となります。
この設定が小さすぎると、AviUtlがメモリを十分に活用できず、動作が重くなります。逆に大きすぎると、他のアプリケーションが使用するメモリが不足し、PC全体の動作が不安定になったり、AviUtlがクラッシュする原因にもなり得ます。

ご自身のPCのメモリ容量は、Windowsのタスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)やシステム情報から確認できます。最適な設定を見つけるために、いくつか試してみるのも良いでしょう。
【最重要】AviUtlの機能を拡張する「プラグイン」の導入準備
AviUtlは、本体だけでは基本的な機能しか持っていません。しかし、「プラグイン」と呼ばれる拡張機能を導入することで、その機能を飛躍的に高めることができます。特に、MP4形式の動画を読み込んだり、出力したりするためには、プラグインの導入が必須となります。
「AviUtlは無料なのに、なぜこんなに高機能なの?」と感じる方もいるかもしれませんが、それは多くの有志によって開発されたプラグインの存在が大きいのです。これらのプラグインを導入することで、有料ソフトに匹敵するような高度な編集が可能になります。
必須プラグインの紹介と導入のポイント
AviUtlを快適に使うために、以下のプラグインは最低限導入しておくことを強くおすすめします。
- L-SMASH Works (入力プラグイン): AviUtlが初期状態で読み込めるファイル形式は限られています。MP4やMP3など、現在主流の様々な動画・音声ファイルを読み込めるようにするために必須のプラグインです。
- x264guiEx (出力プラグイン): AviUtlの初期状態ではAVI形式でしか動画を出力できません。YouTubeなどの動画サイトにアップロードする際に一般的なMP4形式で高画質に出力するために必須です。
- patch.aul (バグ修正・機能追加プラグイン): AviUtlにはいくつかのバグが存在しますが、このプラグインを導入することでそれらを修正し、さらに「やり直し」機能など、編集作業を快適にする便利な機能が追加されます。
- InputPipePlugin (メモリ使用量削減プラグイン): 長時間の動画編集や高解像度動画を扱う際に、AviUtlのメモリ使用量を削減し、メモリ不足によるクラッシュを防ぐ効果があります。L-SMASH Worksと併用することで、より安定した動作が期待できます。
これらのプラグインは、AviUtl本体と同じフォルダ内に「plugins」という名前のフォルダを新規作成し、その中にダウンロードしたファイルを配置するのが一般的です。プラグインによっては、さらに細かい設定が必要な場合もありますので、各プラグインの導入ガイドを参考にしてください。
プラグインの導入方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。


入力プラグイン優先度の設定
複数の入力プラグインを導入した場合、AviUtlがどのプラグインを優先して使用するかを設定する必要があります。特にL-SMASH Worksを導入した場合は、この設定が重要になります。
- 「ファイル」>「環境設定」>「入力プラグイン優先度の設定」を選択します。
- L-SMASH Works File Readerがリストの一番下になるように調整します。これにより、他のプラグインとの競合を避け、安定した読み込みが可能になります。
その他、知っておくと便利な初期設定
上記の必須・重要設定以外にも、AviUtlをより快適に、そして安全に使うための設定がいくつかあります。
最大フレーム数
長時間の動画を編集する場合に重要となる設定です。デフォルトでは320000フレーム(約2時間半)までしか扱えませんが、この数値を上げることで、さらに長い動画を編集できるようになります。
設定場所は「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」内です。
編集のレジューム機能を有効
AviUtlが予期せず終了してしまった場合でも、作業中のプロジェクトを自動的に保存し、次回起動時にその状態から再開できるようにする設定です。予期せぬクラッシュによるデータ損失を防ぐために非常に有効です。
設定場所は「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」内です。
編集ファイルが閉じられる時に確認ダイアログを表示
AviUtlを終了する際や、プロジェクトを閉じる際に、保存の確認ダイアログを表示させる設定です。誤って保存せずに終了してしまうことを防ぎます。
設定場所は「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」内です。
ファイルのドラッグ&ドロップ時の設定
ファイルをAviUtlのメインウィンドウにドラッグ&ドロップした際の挙動を設定できます。例えば、ファイル選択ダイアログを表示させるかどうかなどを調整できます。
設定場所は「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」内です。
メインウィンドウの拡大表示設定
メインウィンドウのサイズを変更した際に、表示されている映像も一緒に拡大縮小されるように設定できます。これにより、編集中のプレビュー画面が常に適切なサイズで表示され、作業しやすくなります。
設定場所は「表示」>「拡大表示」>「WindowSize」にチェックを入れることで有効になります。
設定変更後の「再起動」は忘れずに!
AviUtlでシステム設定を変更した場合、その多くはAviUtlを一度終了し、再起動することで初めて適用されます。設定を変更したのに何も変化がない、あるいは期待通りの動作をしない場合は、AviUtlの再起動を忘れているケースがほとんどです。
Windowsの再起動ではなく、AviUtlアプリケーション単体を終了し、再度起動するだけでOKです。この一手間を忘れずに行うことで、変更した設定が正しく反映され、快適な編集環境が整います。

設定変更後の再起動は、AviUtlの基本中の基本です。もし「あれ?設定したはずなのに…」と思ったら、まずは再起動を試してみてください。
AviUtlでよくある初期設定の疑問とトラブルシューティング
AviUtlは非常に高機能な反面、初心者にとっては初期設定でつまずくことも少なくありません。ここでは、よくある疑問やトラブルとその解決策をまとめました。
疑問・トラブル | 考えられる原因と解決策 |
---|---|
「1280×720を超える画像サイズのファイルは編集できません。」と表示される | 「最大画像サイズ」が不足しています。「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」から、幅と高さをフルHD(1920×1080)や4K(3840×2160)に対応する数値に設定し、AviUtlを再起動してください。 |
MP4などの動画ファイルが読み込めない | L-SMASH Worksなどの入力プラグインが導入されていないか、正しく設定されていません。プラグインを導入し、「入力プラグイン優先度の設定」でL-SMASH Worksの優先度を確認してください。 |
プレビューがカクカクする、動作が重い | 「キャッシュサイズ」が不足している可能性があります。PCのメモリ容量に合わせて適切なキャッシュサイズを設定し、AviUtlを再起動してください。また、PCのスペック不足や、高負荷なエフェクトを多用している可能性もあります。 |
再生ボタンが見当たらない | 「再生ウィンドウの動画再生をメインウィンドウに表示する」にチェックが入っていない可能性があります。「ファイル」>「環境設定」>「システムの設定」からチェックを入れ、AviUtlを再起動してください。 |
動画を出力しようとするとエラーが出る、AVI形式でしか出力できない | x264guiExなどの出力プラグインが導入されていないか、正しく設定されていません。プラグインを導入し、設定を確認してください。 |
AviUtlが頻繁にクラッシュする | キャッシュサイズが大きすぎる、またはInputPipePluginなどのメモリ使用量を削減するプラグインが導入されていない可能性があります。設定を見直すか、プラグインの導入を検討してください。 |
まとめ:快適なAviUtlライフで動画編集を楽しもう
AviUtlは、その無料とは思えないほどの高機能さで、多くの動画クリエイターに支持されています。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、今回ご紹介した初期設定と最適化が非常に重要です。
特に「最大画像サイズ」と「再生ウィンドウのメイン表示」は、動画編集の基本となる部分であり、これらを適切に設定するだけで、作業の快適さが格段に向上します。さらに、「キャッシュサイズ」の最適化や、L-SMASH Works、x264guiExといった「プラグイン」の導入は、AviUtlで本格的な動画編集を行う上で避けては通れない道と言えるでしょう。
これらの設定は一度行えば、その後の動画編集作業が驚くほどスムーズになります。最初は少し手間だと感じるかもしれませんが、この初期投資が、あなたのクリエイティブな動画制作を強力にサポートしてくれるはずです。ぜひ、この記事を参考に、あなただけの快適なAviUtl環境を構築し、動画編集の楽しさを存分に味わってください。
AviUtlは、結婚式の感動的なエンドロール作成など、様々なシーンで活躍するツールです。初期設定をマスターして、あなたのアイデアを形にしましょう。
結婚式のエンドロール作成に関する情報は、以下の記事も参考にしてください。

