結婚式は、お二人の新たな門出を祝う人生の特別な一日です。その大切な日を彩る演出の一つとして、スライドショーは欠かせません。生い立ちや馴れ初め、ゲストとの思い出を映し出すスライドショーは、BGM(背景音楽)によってその感動や楽しさが何倍にも膨れ上がります。しかし、「どんな曲を選べばいいの?」「著作権ってどうすればいいの?」といった悩みは尽きません。
この記事では、結婚式の映像制作に携わるプロの視点から、新郎新婦様が抱えるBGM選びの疑問を解決するための情報を網羅的にお届けします。明るく楽しい雰囲気から感動的なシーンまで、スライドショーに最適なBGMの選び方、無料で使える素材サイト、そして最も重要な著作権対策まで、具体的なアドバイスと事例を交えて詳しく解説します。
最高のBGMで、ゲストの心に残る素敵なスライドショーを完成させましょう。
結婚式スライドショーBGMの基本と重要性
結婚式のスライドショーにおいて、BGMは単なる背景音ではありません。映像に感情を吹き込み、ゲストの記憶に深く刻み込むための重要な要素です。適切なBGMを選ぶことで、スライドショーはより感動的で、より楽しいものへと昇華します。
特に、明るいBGMは結婚式全体の雰囲気を盛り上げ、新郎新婦の幸せな未来を象徴するのに最適です。例えば、オープニングムービーではゲストの期待感を高め、プロフィールムービーでは二人の明るい人柄や楽しい思い出を際立たせることができます。歓談中や送賓時には、心地よい明るいBGMが会場を和やかなムードで満たし、ゲストにリラックスした時間を提供します。
BGMは、スライドショーの「感情」を決定づける要素です。写真一枚一枚に込められた意味を音楽が引き出し、ゲストの心に直接語りかけます。
著作権の壁を乗り越える!結婚式BGMの正しい知識
結婚式のスライドショーで市販の楽曲を使用する際、最も注意すべき点が「著作権」です。著作権を侵害すると、法的なトラブルに発展する可能性があり、せっかくの晴れ舞台に水を差すことになりかねません。正しい知識を身につけ、安心してBGMを選びましょう。
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結婚式BGMに関わる2つの権利「演奏権」と「複製権」
結婚式で音楽を使用する際に主に問題となるのは、「演奏権」と「複製権」の2つです。
- 演奏権:音楽を公衆に聞かせる権利です。結婚式場で市販のCDを流す場合などがこれに該当します。ほとんどの結婚式場は、日本音楽著作権協会(JASRAC)と包括契約を結んでいるため、市販のCDをBGMとして流す分には、新郎新婦が個別に申請する必要がない場合が多いです。ただし、自分でコピーしたCD-Rや、ストリーミングサービスからダウンロードした音源、レンタルCDなどは、演奏権の範囲外となるため注意が必要です。
- 複製権:音楽をコピー(複製)する権利です。スライドショーやムービーに音楽を組み込む場合(例:プロフィールムービー、オープニングムービー、エンドロールなど)に発生します。この複製権は、JASRACが管理する著作権(作詞・作曲家が持つ権利)だけでなく、レコード会社やアーティストが持つ「著作隣接権」も関わってきます。JASRACとの包括契約だけでは、この著作隣接権はカバーされないため、別途許諾を得る必要があります。
著作権問題をクリアする具体的な方法
市販の楽曲をスライドショーに使用する場合、複製権の許諾を得る必要があります。この手続きを簡素化するために、「ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)」という団体が設立されています。
ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)の活用
ISUMは、結婚式で市販の楽曲をムービーに使用する際の著作権・著作隣接権の申請を一括で代行してくれるサービスを提供しています。ISUMに加盟している結婚式場や映像制作会社を通じて申請することで、複雑な手続きをスムーズに進めることができます。
ISUMのデータベースに登録されている楽曲であれば、安心して使用できます。料金は、静止画(スライドショー)か動画か、使用する曲の長さなどによって異なりますが、適正な使用料を支払うことで合法的に利用が可能です。
ISUMのデータベースにない楽曲は、申請リクエストを出すことも可能ですが、回答に時間がかかったり、利用許可が下りない場合もあるため、データベース内の楽曲から選ぶのが確実です。
著作権フリー・ロイヤリティフリーBGMの活用
「著作権フリー」や「ロイヤリティフリー」のBGMは、著作権者が特定の条件下で自由な利用を許可している楽曲です。これらを利用すれば、著作権侵害のリスクを避け、費用を抑えてスライドショーを制作できます。
ただし、「フリー」と一口に言っても、利用規約はサイトや楽曲によって異なります。「商用利用可能か」「クレジット表記は必要か」「加工は可能か」などを必ず確認しましょう。

無料で使えるBGMサイトを利用する際は、必ず利用規約を確認し、適切に使用しましょう。特に「商用利用可」の表記があるかどうかが重要です。
著作権侵害のリスクと対策
著作権を無視して市販の楽曲を無断で使用した場合、以下のようなリスクがあります。
- 法的トラブル:著作権者からの損害賠償請求や、刑事罰の対象となる可能性もあります。
- 上映拒否:結婚式場によっては、著作権処理がされていない自作ムービーの上映を拒否されることがあります。
このようなトラブルを避けるためにも、BGM選びと並行して著作権の確認と申請を必ず行いましょう。不明な点があれば、結婚式場の担当者や映像制作会社に相談するのが最も確実です。
スライドショーを輝かせる!明るいBGMの選び方とおすすめ曲
スライドショーのBGM選びは、映像の印象を大きく左右します。特に結婚式では、明るくポジティブな曲が会場を幸せなムードで包み込みます。
シーン別!BGM選びのコツとポイント
スライドショーは複数のパートで構成されることが多いため、シーンごとにBGMを使い分けることで、よりストーリー性のある感動的な演出が可能です。
シーン | BGM選びのコツ | おすすめの雰囲気 |
---|---|---|
オープニング | ゲストの期待感を高める、華やかでアップテンポな曲。 | 明るく、ワクワクするような、始まりを感じさせる曲。 |
新郎生い立ち | 新郎の人柄や成長が伝わる曲。幼少期は可愛らしく、学生時代は爽やかに。 | 元気、爽やか、少しコミカルな要素も。 |
新婦生い立ち | 新婦の優しさや美しさを引き立てる曲。感動的なバラードも人気。 | 優雅、感動的、ロマンチック。 |
二人の馴れ初め | 出会いから結婚までの道のりを表現する、ロマンチックで温かい曲。 | 幸せ、愛情、絆を感じさせる曲。 |
エンディング/送賓 | 感謝の気持ちを伝え、未来への希望を感じさせる曲。感動的なバラードや、明るく締めくくる曲。 | 感謝、感動、希望、ハッピーエンド。 |

歌詞のある曲を選ぶ際は、その歌詞がスライドショーのメッセージやシーンの雰囲気に合っているかを確認しましょう。感動的な手紙のシーンなどでは、歌詞のないインストゥルメンタル曲を選ぶと、メッセージがより際立ちます。
【ジャンル別】おすすめ明るいBGMリスト
ここでは、結婚式のスライドショーにぴったりの、明るい雰囲気のおすすめBGMをジャンル別にご紹介します。ISUMの週間申請ランキングなども参考に、人気の楽曲をピックアップしました。
邦楽ポップス(最新・定番)
- Official髭男dism「115万キロのフィルム」:「人生を80年分のフィルムに例える」という歌詞がプロフィールムービーにぴったりで、近年絶大な人気を誇ります。
- Mrs. GREEN APPLE「Soranji」:壮大で前向きな歌詞が、二人の未来への誓いを表現するのに最適です。
- Superfly「愛をこめて花束を」:感謝の気持ちを伝える定番曲。感動的なシーンにも、明るいシーンにも合います。
- AI「ハピネス」:コカコーラのCM曲としても有名で、聴くだけでハッピーな気分になる一曲。
- 絢香「にじいろ」:これから始まる二人の物語を優しく彩る、温かい曲調が人気です。
- ウルフルズ「バンザイ~好きでよかった~」:ストレートな愛情表現と力強いメロディーが、会場を盛り上げます。
- ケツメイシ「君とつくる未来」:前向きな歌詞とテンポの良い曲調が、二人の未来を明るく照らします。
洋楽ポップス(おしゃれ・盛り上がる)
- Pharrell Williams「Happy」:タイトル通り、聴いているだけで楽しくなる世界的なヒット曲。 [Original]
- Bruno Mars「Marry You」:プロポーズをテーマにした、結婚式にぴったりのアップテンポなラブソング。 [Original]
- Taylor Swift「Shake It Off」:明るくノリの良い曲で、楽しい友人とのシーンなどに最適です。 [Original]
- Shane Filan「Beautiful in White」:純白のドレス姿を歌い上げるロマンチックなバラード。日本では知る人ぞ知る名曲で、感動的なシーンにおすすめです。
- One Direction「What Makes You Beautiful」:爽やかでアップテンポなラブソングで、オープニングや入場シーンにぴったりです。
インストゥルメンタル/クラシック(感動・落ち着き)
- Vivaldi「Spring」(「四季」より):明るく軽やかなメロディーが、春の訪れや新しい始まりを感じさせます。 [Original]
- Kiroro「未来へ」(オルゴール版など):歌詞がなくてもメロディーだけで感動を誘う、両親への手紙やプロフィールムービーのクライマックスに人気の曲です。
- 映画『カールじいさんの空飛ぶ家』サウンドトラック「Married Life」:夫婦の人生を描く名シーンで流れるワルツ調の曲。軽やかで切ないメロディーが、二人の半生を振り返るプロフィールムービーに深みを与えます。
ワンポイント:人気曲はISUMデータベースで確認!
ISUMの公式サイトでは、結婚式で実際に申請された楽曲の週間ランキングが公開されています。プロフィールムービーやエンドロールなど、シーン別に人気の曲をチェックできるので、選曲の参考にすると良いでしょう。
無料で使える高品質BGMサイト
著作権フリーやロイヤリティフリーのBGMは、費用を抑えつつ安心してスライドショーを制作したい場合に非常に役立ちます。
- YouTube Audio Library:YouTubeクリエイター向けに提供されている無料の音楽ライブラリ。ジャンルやムード、楽器などで検索でき、高品質な楽曲が豊富に揃っています。 [Original]
- Bensound:ポップ、シネマティック、アコースティックなど多様なジャンルのロイヤリティフリーBGMを提供。クレジット表記が必要な場合が多いですが、商用利用も可能です。 [Original, 2]
- Free Music Archive:クリエイティブ・コモンズライセンスの楽曲を中心に、幅広いジャンルの音楽を無料で提供しています。
- d-elf:結婚式やウェディング関連の映像制作に特化した、ライセンスフリーのBGMを無料で配布しています。ピアノ曲やオルゴール曲など、感動的なシーンに合う楽曲が見つかります。
- HURT RECORD:様々なテーマの著作権フリーBGMを提供しており、「スライドショー」をテーマにした楽曲もあります。
- ccMixter:クリエイティブ・コモンズライセンスで提供される、多様なジャンルの音楽が揃っています。
- Royalty Free Tune:結婚式や結婚記念日、スライド作成などを想定した著作権フリーの楽曲を提供しています。
ダウンロードする際は、必ず各サイトの利用規約をよく読み、商用利用が可能か、クレジット表記が必要かなどの条件を確認しましょう。
プロが教える!BGMとスライドショーの連携テクニック
BGMとスライドショーの連携は、映像のクオリティを大きく左右します。プロのような仕上がりを目指すためのテクニックをご紹介します。
音楽と映像のタイミングを完璧に合わせる方法
BGMとスライドの切り替えを同期させることで、映像に一体感が生まれ、より引き込まれるスライドショーになります。
- スライドの切り替えとBGMのビート同期:BGMのテンポに合わせてスライドの表示時間を調整したり、曲の盛り上がりに合わせて写真が切り替わるように設定したりすると効果的です。特に、サビの部分で印象的な写真を見せるなど、音楽の構成を意識すると良いでしょう。
- 曲の構成に合わせた写真配置:Aメロ、Bメロ、サビといった曲の構成に合わせて、写真の枚数や種類を調整します。例えば、Aメロでは幼少期の写真をゆっくり見せ、サビで一気に成長した姿や友人との楽しい写真を展開するなど、ストーリー性を意識しましょう。
- フェードイン・フェードアウトの活用:BGMの開始時や終了時にフェードイン・フェードアウトを適用することで、自然な音の入りと終わりを演出できます。複数の曲を使用する場合も、曲の切り替わりにフェード処理を行うとスムーズです。

音楽のトリミング機能を活用し、スライドショーの長さに合わせて曲の不要な部分をカットしたり、ループ設定で繰り返し再生したりすることで、映像と音楽の長さをぴったり合わせることができます。
スライドショー作成ソフトでのBGM挿入・調整
主要なスライドショー作成ソフトでのBGM挿入と調整の基本を把握しておきましょう。
- PowerPoint/Keynote/Googleスライドでの基本操作:これらのソフトでは、「挿入」タブからオーディオファイルを選択し、スライドショーにBGMを追加できます。PowerPointでは「バックグラウンドで再生」設定を利用すると、スライド切り替え後も音楽が途切れることなく再生されます。 [Original, 14, 34]
- より高度な編集には動画編集ソフト:PowerPointなどのプレゼンテーションソフトはBGM編集機能が限られているため、より細かなタイミング調整やエフェクトを加えたい場合は、Adobe Premiere Proなどの動画編集ソフトの利用も検討しましょう。
- 音量調整の重要性:BGMの音量は、ゲストの会話やナレーションの邪魔にならないよう、適切なレベルに調整することが非常に重要です。大きすぎると不快に感じさせ、小さすぎると存在感が薄れてしまいます。 [Original, 38]
失敗しないためのチェックリストとアドバイス
せっかく時間をかけて作ったスライドショーが、当日にトラブルに見舞われるのは避けたいものです。以下の点を確認し、万全の準備をしましょう。
- ムービーの長さ:長すぎるとゲストが飽きてしまう可能性があります。プロフィールムービーや余興ムービーは、5分~8分程度を目安にまとめると良いでしょう。
- 画質、文字の見やすさ:大きなスクリーンで上映することを想定し、写真の画質が粗くないか、文字が小さすぎたり見切れたりしないかを確認しましょう。
- 最終確認:完成したムービーは、必ず新郎新婦自身で内容を最終確認し、会場の担当者にも事前に見てもらい、再生環境や音量、フォーマットに問題がないかを確認してもらいましょう。

結婚式当日、会場の機材で実際に再生テストを行うことは非常に重要です。自宅のPCでは問題なくても、会場のプロジェクターや音響システムでは予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
読者の疑問を解決!Q&A
Q: 自作ムービーは会場で流せる?
A: 著作権処理が適切に行われていれば、多くの会場で上映可能です。ただし、会場によっては持ち込み規定や対応できるファイル形式が異なる場合があるため、事前に必ず会場の担当者に確認しましょう。著作権の許諾が得られていないムービーは、上映を断られる可能性が高いです。
Q: ISUMにない曲を使いたい場合は?
A: ISUMに登録されていない楽曲の場合、個別に著作権者(作詞・作曲家)と著作隣接権者(レコード会社など)に許諾を得る必要があります。これは非常に手間がかかるため、ISUMに登録されている楽曲から選ぶか、著作権フリーの楽曲を利用することを強くおすすめします。
Q: 著作権フリーでも注意することは?
A: 「著作権フリー」という言葉は、完全に自由に使えるという意味ではありません。多くの場合、利用規約で「商用利用の可否」「クレジット表記の義務」「加工の可否」などが定められています。特に結婚式での使用は「商用利用」とみなされることが多いため、必ず「商用利用可」の楽曲を選び、利用規約を遵守しましょう。
まとめ
結婚式のスライドショーは、お二人の大切な思い出をゲストと分かち合い、会場を感動と笑顔で満たす素晴らしい演出です。その魅力を最大限に引き出すためには、BGM選びが非常に重要になります。
明るくポジティブなBGMは、結婚式全体の雰囲気を盛り上げ、ゲストに楽しい時間を提供します。しかし、選曲と同じくらい、著作権に関する正しい知識と適切な手続きが不可欠です。ISUMの活用や著作権フリーBGMの利用など、安全かつ合法的に音楽を使用する方法を理解し、トラブルなく準備を進めましょう。
この記事でご紹介したBGM選びのコツや、スライドショー作成のテクニック、そして著作権対策を参考に、お二人らしい最高のスライドショーを完成させてください。きっと、ゲストの心に深く刻まれる、忘れられない一日となるはずです。


