iMovieは、Macユーザーにとって手軽に高品質な動画を作成できる強力なツールです。動画のシーンとシーンを自然につなぎ、視聴者にスムーズな体験を提供する上で欠かせないのが「トランジション」です。しかし、一度挿入したトランジションを後から変更したり、不要なものを削除したりする場面は少なくありません。このガイドでは、iMovieで挿入したトランジションを個別に、あるいは一括で変更・削除する方法を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。さらに、動画のクオリティを飛躍的に向上させるプロの応用テクニックや、よくあるトラブルの解決策まで網羅しています。
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iMovieで動画編集 基本編
「iMovieで動画編集 基本編」に関連する記事の一覧です。
iMovieトランジションの基礎知識と編集の重要性
トランジションとは、動画のクリップとクリップの間に挿入される視覚効果のことで、シーンの切り替わりをスムーズに見せる役割があります。例えば、あるシーンから別のシーンへ「フェードアウト」して「フェードイン」する、あるいは「ワイプ」で画面が切り替わるなど、様々な種類があります。トランジションを適切に使うことで、動画全体の流れが自然になり、視聴者にストレスなく内容を伝えることができます。
トランジションは単なる装飾ではなく、動画のストーリーテリングを助け、視聴者の感情移入を促す重要な要素です。効果的なトランジションは、動画のプロフェッショナル感を格段に向上させます。
iMovieで利用できるトランジションの種類
iMovieには、Mac版とiOS(iPad/iPhone)版で利用できるトランジションの種類が異なります。Mac版iMovieには24種類のトランジションが搭載されており、基本的な編集には十分な選択肢が用意されています。一方、iPad/iPhone版iMovieでは、「ディゾルブ」「スライド」「ワイプ」「フェード」など、よりシンプルな6種類程度のトランジションが利用可能です。
動画の目的や雰囲気に合わせて、最適なトランジションを選ぶことが重要です。例えば、落ち着いた雰囲気のドキュメンタリーには「クロスディゾルブ」や「フェード」が適しており、動きのあるVlogなどでは「ワイプ」や「スライド」が効果的です。
なぜトランジションの変更・削除が必要なのか
動画編集を進める中で、以下のような理由からトランジションの変更や削除が必要になることがあります。
- 動画全体のトーン&マナーの調整: 最初に選んだトランジションが、後から見ると動画全体の雰囲気に合わないと感じることがあります。
- 尺の調整: トランジションの長さが動画全体のテンポに影響を与えるため、短くしたり長くしたりする必要が生じます。
- 視覚的な違和感の解消: 特定のトランジションが視聴者に不自然な印象を与える場合、別のものに変更したり、削除してシンプルなカットにしたりすることがあります。
- 効率的な編集: 多数のトランジションを一度に変更・削除することで、編集時間を大幅に短縮できます。特にスライドショーなど、大量のクリップを扱う場合にその効果は顕著です。
iMovieでトランジションを変更する方法
iMovieでは、個別のトランジションからプロジェクト全体のトランジションまで、柔軟に変更することが可能です。
個別のトランジションを変更する
特定のトランジションだけを別のものにしたい場合は、以下の手順で行います。
- タイムライン上で変更したいトランジションを見つけます。
- 「トランジション」ブラウザから、新しく適用したいトランジションを選択します。
- 新しいトランジションを、変更したい既存のトランジションの上にドラッグ&ドロップします。
「+」マークが表示された後にマウスを離すと、トランジションが変更されます。

トランジションをドラッグする前に、各トランジションのサムネイルにカーソルを合わせると、その効果をプレビューできます。これにより、実際に適用する前にイメージを確認でき、効率的な選択が可能です。
複数のトランジションをまとめて変更する
複数のトランジションを一度に変更したい場合は、以下の手順で行います。
- 変更したいトランジションを複数選択します。Commandキーを押しながらクリックすると、複数のトランジションを選択できます。
- 「トランジション」ブラウザから、新しく適用したいトランジションをダブルクリックします。
選択した全てのトランジションが、ダブルクリックしたトランジションに変更されます。ドラッグ&ドロップでは1つしか変更されないため、この方法が効率的です。
複数のトランジションを選択する際は、Shiftキーを押しながら範囲選択したり、Commandキーを押しながら個別に選択したりと、状況に応じて使い分けましょう。
プロジェクト全体のトランジションを一括で変更する(「全てに適用」)
プロジェクト内の全てのトランジションを同じ種類に変更したい場合は、「全てに適用」機能が便利です。
- まず、変更したいトランジションの1つをダブルクリックします。
- 表示される設定メニューから、希望のトランジションの種類を選択し、必要であれば継続時間も調整します。
- 「全てに適用」をクリックします。
これにより、タイムライン上の全てのトランジションが、選択した1つのトランジションに一括で変更されます。

「全てに適用」は、動画全体の統一感を出すのに非常に役立ちます。特に、シンプルなクロスディゾルブやフェードで統一したい場合に重宝します。
複数のクリップに一括でクロスディゾルブを新規挿入する
まだトランジションが挿入されていない複数のクリップ間に、一括で「クロスディゾルブ」を新規挿入することも可能です。これは特に、大量の写真を読み込んでスライドショーを作成する際などに非常に効率的です。
- トランジションを挿入したいクリップを複数選択します。(Shiftキーを押しながら範囲選択、またはCommandキーを押しながら個別に選択)
- iMovieの上部メニューから「編集」をクリックし、「クロスディゾルブを追加」を選択します。(またはCommand+Tキーを押します)
これにより、選択したすべてのクリップ間に「クロスディゾルブ」トランジションがまとめて挿入されます。

iMovieで手ブレを補正する究極ガイド:効果的な使い方から限界、プロのコツまで徹底解説
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iMovieでトランジションを削除する方法
不要になったトランジションは、簡単に削除することができます。
1つのトランジションだけを削除する場合
特定のトランジションだけを削除したい場合は、以下の手順で行います。
- タイムライン上で削除したいトランジションをクリックして選択します。
- キーボードの「Delete」キーを押します。
これにより、選択したトランジションが削除され、クリップ間はシンプルなカットになります。iPhone版iMovieでは、トランジションをタップして「なし」を選択することで削除できます。
複数のトランジションをまとめて削除する場合
複数のトランジションを一度に削除したい場合は、以下の手順で行います。
- 削除したいトランジションを複数選択します。Commandキーを押しながらクリックすると、複数のトランジションを選択できます。
- キーボードの「Delete」キーを押します。
選択した全てのトランジションがまとめて削除されます。
複数のトランジションを効率的に選択するには、タイムライン上でドラッグして範囲選択する方法も有効です。
全てのトランジションを一括で削除する場合
プロジェクト内の全てのトランジションを一度に削除したい場合は、以下の手順で行います。
- iMovieのメニューバーから「編集」をクリックします。
- 「ムービー内で選択」にカーソルを合わせ、「トランジション」を選択します。
これにより、タイムライン上の全てのトランジションが選択された状態になります。
- キーボードの「Delete」キーを押します。
全てのトランジションが一括で削除され、クリップ間は全てシンプルなカットになります。

一括削除は、動画のテンポを速くしたい場合や、トランジションを全く使わないミニマルなスタイルにしたい場合に非常に便利です。ただし、元に戻すには「取り消す」操作が必要なので、慎重に行いましょう。
iMovieトランジションを使いこなす応用テクニック
トランジションの変更・削除だけでなく、その長さを調整したり、最適な種類を選んだりすることで、動画のクオリティはさらに向上します。
トランジションの長さを調整する
トランジションのデフォルトの長さは1秒ですが、これを変更することで動画のテンポをコントロールできます。
- 長さを調整したいトランジションをダブルクリックします。
- 表示される設定ウィンドウで、「継続時間」の数値を変更します。
- 「適用」をクリックします。
また、この設定ウィンドウで「全てに適用」をクリックすると、プロジェクト内の全てのトランジションの継続時間を一括で調整することも可能です。
トランジションの長さを調整する際、「これらのクリップには、このトランジションの長さを変更するために利用できるメディアが不足しています。」というエラーが表示されることがあります。これは、トランジションを挟む前後のクリップに、トランジションの長さを確保するための十分な余白(メディアハンドル)がない場合に発生します。この場合、前後のクリップを短くトリミングするか、トランジションの長さを短く設定し直す必要があります。
トランジションの長さ調整について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

最適なトランジションを選ぶヒント
iMovieには様々なトランジションが用意されていますが、闇雲に使うのではなく、動画の目的や雰囲気に合わせて選ぶことが重要です。
- クロスディゾルブ: 最も汎用性が高く、自然な切り替わりを演出します。ドキュメンタリーや落ち着いた雰囲気の動画に適しています。
- フェード: シーンの始まりや終わりに使うことで、穏やかな印象を与えます。特に、黒や白へのフェードは、時間の経過や感情の変化を表現するのに効果的です。
- ワイプやスライド: 動きがあり、テンポの良い動画や、特定の情報を強調したい場合に有効です。
- 多用しすぎない: トランジションを多用しすぎると、かえって動画がごちゃごちゃして見えたり、視聴者の集中を妨げたりすることがあります。本当に必要な箇所に絞って使うのがプロの技です。
- 動画のテーマに合わせる: 例えば、結婚式の感動的なムービーであれば、派手なトランジションよりも、フェードやディゾルブのような落ち着いたものが適しています。

トランジションは、動画の「呼吸」のようなものです。適切なタイミングと長さで挿入することで、動画にリズムと奥行きが生まれます。 様々なトランジションを試して、あなたの動画に最適な表現を見つけてください。
トランジションの一括適用や複製に関するさらに詳しい情報は、以下の記事もご参照ください。

iMovieトランジションに関するよくある質問とトラブルシューティング
iMovieでトランジションを操作する際によくある疑問や問題について解説します。
Q. トランジションがうまく適用できない、またはエラーが出るのはなぜですか?
A. 主な原因として、トランジションを挿入する前後のクリップに十分な「ハンドル」(トランジションを適用するための余白)がないことが挙げられます。トランジションは、前後のクリップの端を少しずつ重ね合わせることで機能するため、クリップの長さがギリギリだと適用できない場合があります。この場合、クリップを少しトリミングして余白を作るか、トランジションの長さを短く設定してみてください。
Q. トランジションを挿入すると動画の尺が変わってしまいますか?
A. はい、トランジションは前後のクリップのメディアを一部使用するため、挿入すると動画全体の尺がわずかに短くなることがあります。特に、トランジションの長さを長く設定した場合に顕著です。動画の尺を厳密に管理したい場合は、この点を考慮して編集を進める必要があります。
Q. 特定のトランジションが見つからない、またはグレーアウトしているのはなぜですか?
A. iMovieで利用できるトランジションの種類は、使用しているデバイス(Mac版かiOS版か)によって異なります。 また、特定の状況下では、自動トランジション設定がオンになっている場合や、クリップの長さが極端に短い場合などに、一部のトランジションが選択できない(グレーアウトする)ことがあります。Mac版iMovieで手動でトランジションを追加するには、自動トランジションをオフにする必要がある場合もあります。
Q. iMovieエラーコード10008とトランジションの関係は?
A. iMovieエラーコード10008は、主にプロジェクトの破損が原因で発生し、プロジェクトに含まれるビデオの破損した部分(黒いフレームなど)がレンダリングを妨げる場合に表示されます。この破損が、ビデオに適用されたトランジションに起因することもあります。もしこのエラーに遭遇した場合は、プロジェクトをフレームごとに精査し、問題のあるトランジションや破損部分を特定して削除することで解決する可能性があります。
まとめ:iMovieトランジション編集で動画の質を高めよう
iMovieのトランジション機能は、動画のクオリティを向上させるための強力なツールです。個別の変更から一括操作、そして長さの調整まで、これらの機能を使いこなすことで、あなたの動画はよりプロフェッショナルで魅力的なものになるでしょう。本記事で解説した手順とヒントを参考に、ぜひiMovieでの動画編集を楽しんでください。
iMovieを使った動画編集の基礎をマスターすれば、さらに高度な編集テクニックにも挑戦できます。結婚式のムービーなど、特別な動画制作にもiMovieは活躍します。
iMovieでの効率的な動画編集術について、さらに深く学びたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

