AviUtlの拡張編集モードは、タイムラインを使って一般的な動画編集ソフトのように動画のカット編集を行うための強力な機能です。動画素材の中から不要な部分を正確に切り取り、必要な部分だけを残す「カット編集」は、どのような動画編集においても頻繁に利用する基本中の基本となる作業です。このページでは、AviUtlの拡張編集を使ったカット編集の具体的な手順と、作業を効率化するための実践的なテクニック、そしてよくあるトラブルの対処法までを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
結婚式ムービーやイベント映像など、長尺の動画を編集する際には、このカット編集のスキルが動画のクオリティと作業効率を大きく左右します。AviUtlを使いこなして、あなたの理想の映像作品を形にしましょう。
1. AviUtl拡張編集でのカット編集を始める前の重要設定
より正確で効率的なカット編集を行うために、事前にAviUtlの環境設定を確認・変更しておくことを強くお勧めします。特に以下の3つの設定は、作業の快適さに直結します。これらの設定は一度行えば次回以降も適用されます。
- 「中間点追加・分割を常に現在フレームで行う」にチェックを入れる
この設定にチェックを入れると、タイムライン上で右クリックして「分割」を選んだ際に、マウスカーソルの位置ではなく、赤い縦線(現在フレーム)の位置で正確に分割されるようになります。これにより、意図しない位置での分割を防ぎ、より精密なカットが可能になります。 - 「分割時にグループを別々にする」にチェックを入れる
動画と音声がグループ化されている場合でも、分割時にそれぞれが独立したオブジェクトとして扱われるようになります。これにより、分割後のオブジェクトの移動や削除がしやすくなり、編集の自由度が高まります。 - 「D&D読み込み時に複数オブジェクトをグループ化」の設定を理解する
この設定は、動画ファイルをタイムラインにドラッグ&ドロップした際に、動画と音声が自動的にグループ化されるかどうかを決定します。グループ化されていると、動画と音声が常に同期した状態で編集できますが、個別に編集したい場合はグループ化を解除する必要があります。ご自身の編集スタイルに合わせて設定を調整しましょう。

これらの設定は、カットの精度や作業効率に大きく影響します。特に「中間点追加・分割を常に現在フレームで行う」は、必ず確認しておきましょう。
2. AviUtl拡張編集でのカット編集の基本手順(分割・削除・詰める)
AviUtlの拡張編集でカット編集を行う場合、基本的には「分割」「削除」「詰める」の3ステップで進めます。まずは、この一連の流れをマスターしましょう。
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ステップ1:不要な部分の開始位置でオブジェクトを分割する
カットして除去したい不要な部分の「先頭」に、タイムライン上の赤い縦線(現在フレーム)を合わせます。最も簡単な方法は、タイムラインのルーラー部分をクリックして赤い縦線を移動させることです。正確な位置に合わせたら、以下のいずれかの方法でオブジェクトを分割します。
- 右クリックメニューから分割: 分割したいオブジェクトの上で右クリックし、「分割」を選択します。
- ショートカットキー「S」で分割: 分割したいオブジェクトを選択した状態で、キーボードの「S」キーを押します。この方法が最も効率的で、プロの動画クリエイターも多用します。
ステップ2:不要な部分の終了位置でオブジェクトを分割する
同様に、不要な部分の「終了」位置に赤い縦線を合わせ、ステップ1と同じ方法でオブジェクトを分割します。これで、不要な箇所が前後の必要な部分から完全に分離され、独立したオブジェクトとして扱えるようになります。
ステップ3:不要な部分を削除し、空白を詰める
分離させた不要なオブジェクトを選択し、以下のいずれかの方法で削除します。
- 右クリックメニューから削除: 削除したいオブジェクトの上で右クリックし、「削除」を選択します。
- ショートカットキー「Delete」で削除: 削除したいオブジェクトを選択した状態で、キーボードの「Delete」キーを押します。
削除すると、その部分に時間的な空白の領域ができます。この空白を埋めるために、右側にある分割されたオブジェクトを左にドラッグして、前のオブジェクトに繋がるように移動させましょう。これでカット編集の一連の作業が完了します。

カット編集は、動画のテンポを良くし、視聴者の集中力を維持するために不可欠な作業です。特に結婚式ムービーでは、冗長な部分をなくすことで感動がより際立ちます。
3. 効率爆上げ!AviUtlカット編集の時短テクニック
AviUtlでのカット編集は、慣れると非常にスピーディーに行えるようになります。ここでは、さらに作業効率を高めるためのテクニックをご紹介します。
3-1. 必須ショートカットキーをマスターする
前述の「S」キーや「Delete」キー以外にも、AviUtlには便利なショートカットキーが多数存在します。これらを活用することで、マウス操作を減らし、編集速度を格段に向上させることができます。
- 「S」キー: 現在フレームの位置でオブジェクトを分割。
- 「Delete」キー: 選択したオブジェクトを削除。
- 「Ctrl + Z」: 直前の操作を取り消す(元に戻す)。
- 「Home」キー: タイムラインの先頭に移動。
- 「End」キー: タイムラインの最後に移動。
- 左右の矢印キー: 1フレームずつ移動。
- 「Space」キー: プレビューの再生/一時停止。
これらのショートカットキーは、AviUtlの編集作業において「手足」となるものです。特に「S」キーと「Delete」キーは頻繁に使うため、指が自然に動くようになるまで練習することをおすすめします。
3-2. 動画の前後を素早くトリミングする方法
動画の最初や最後だけをカットしたい場合は、「分割」→「削除」の手順を踏むよりも、オブジェクトの端をドラッグする方がはるかに効率的です。
- タイムライン上の動画オブジェクトの左端または右端にマウスカーソルを合わせます。
- カーソルが両方向の矢印に変わったら、そのままドラッグして長さを調整します。
この方法で、動画の開始点や終了点を直感的に調整し、不要な部分をトリミングすることができます。
3-3. 複数オブジェクトをまとめて分割する
動画と音声など、複数のオブジェクトがグループ化されていない状態で同時に分割したい場合、一つずつ「S」キーを押すのは手間がかかります。そのような場合は、以下の方法を試してみてください。
- 分割したいすべてのオブジェクトを選択します(Shiftキーを押しながらクリックで複数選択)。
- 赤い縦線(現在フレーム)を分割したい位置に合わせます。
- 選択したオブジェクトの上で「Ctrlキーを押しながら右クリック」し、「分割」を選択します。
これにより、選択した複数のオブジェクトが一度に現在フレームの位置で分割され、作業時間を大幅に短縮できます。

結婚式のプロフィールムービーなど、複数の写真やBGMを扱う場合、この一括分割は非常に役立ちます。効率的な編集で、制作時間を短縮しましょう。
4. プロが実践!よりスムーズなカット編集のための応用術
4-1. 映像と音声の同期を常に保つ意識
AviUtlの拡張編集では、映像オブジェクトと音声オブジェクトが別々に扱われることがあります。カット編集を行う際は、映像と音声がずれないように注意が必要です。特に、グループ化されていないオブジェクトを個別に編集する際は、両方を同時に分割・削除する意識を持つことが重要です。
4-2. 長尺動画のカット編集のコツ
結婚式のエンドロールやイベントの記録映像など、長い動画を編集する際は、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 大まかなカットから始める: まずは不要なシーンを大きくカットし、全体の尺を短くします。
- 細かな調整は後から: その後、必要なシーンの冒頭や末尾を数フレーム単位で調整していきます。
- 区切りごとに保存: 長時間編集する場合は、こまめにプロジェクトファイルを保存しましょう。予期せぬトラブルで作業が中断されるリスクを減らせます。
4-3. プレビュー再生を徹底活用する
カット編集の前後で、必ずプレビュー再生を行い、映像と音声の繋がりが自然か、意図した通りにカットされているかを確認しましょう。特に、カットの繋ぎ目は不自然になりがちなので、何度も再生して違和感がないかチェックすることが大切です。
5. AviUtlカット編集でよくあるトラブルと解決策
AviUtlでのカット編集は非常に便利ですが、時には予期せぬトラブルに遭遇することもあります。ここでは、よくある問題とその対処法をご紹介します。
5-1. 指定した位置で分割できない/ずれる
「右クリックで分割したのに、赤い縦線の位置とずれて分割されてしまう」という場合は、前述の「環境設定」で「中間点追加・分割を常に現在フレームで行う」にチェックが入っているか確認してください。この設定がオフになっていると、マウスカーソルの位置で分割されてしまうことがあります。
5-2. カット後に映像や音声が出なくなる(音ズレ・無音)
特定のオブジェクトを削除した際に、関連する映像や音声も一緒に消えてしまい、意図しない空白や無音が発生することがあります。これは、映像と音声がグループ化されていない状態で、片方だけを削除してしまった場合に起こりやすいです。対処法としては、以下の点が挙げられます。
- 「Ctrl + Z」で元に戻す: まずは直前の操作を取り消し、元の状態に戻します。
- グループ化を確認する: 編集前に動画と音声がグループ化されているか確認し、必要であればグループ化します。
- 両方のオブジェクトを同時に選択して削除する: グループ化されていない場合でも、映像と音声のオブジェクトを両方選択した状態で削除すれば、同期が保たれます。
5-3. オブジェクトの移動がうまくいかない
カットした後のオブジェクトをドラッグして空白を埋めようとした際に、隣接するオブジェクトも一緒に動いてしまったり、うまく移動できなかったりする場合があります。この問題は、拡張編集の環境設定にある「オブジェクトの端をつまむ時に隣接するオブジェクトも選択」のチェックを外すことで解決することが多いです。
5-4. その他の一般的なトラブルシューティング
上記以外にも、AviUtlの動作が不安定になったり、特定のファイルが読み込めなかったりする場合があります。そのような時は、以下の基本的な対処法を試してみてください。
- AviUtlの再起動: 一時的な不具合であれば、再起動で解決することがあります。
- プラグインの再導入: 拡張編集プラグインや関連するプラグインが正しく動作していない可能性も考えられます。一度アンインストールし、再度導入してみましょう。
- ファイル形式の確認: 読み込もうとしている動画や音声のファイル形式がAviUtlでサポートされているか確認します。必要であれば、別の形式に変換してから読み込みます。
AviUtlは非常に多機能なフリーソフトですが、その分、設定や操作に慣れるまで時間がかかることもあります。しかし、一度マスターすれば、プロレベルの動画編集も可能です。諦めずに、一つずつ問題を解決しながらスキルアップしていきましょう。
まとめ:AviUtlで理想のカット編集を実現しよう
AviUtlの拡張編集におけるカット編集は、動画制作の根幹をなす重要なスキルです。本記事で解説した「分割」「削除」「詰める」の基本手順をマスターし、さらにショートカットキーや環境設定を最適化することで、あなたの編集作業は飛躍的に効率化されるでしょう。
特に結婚式ムービーのような大切な映像作品では、不要な部分を的確にカットし、テンポの良い、感動的な流れを作り出すことが成功の鍵となります。AviUtlの機能を最大限に活用し、視聴者の心に残る素晴らしい動画を制作してください。
AviUtlを使った動画編集について、さらに深く学びたい方は、以下の記事も参考にしてください。


