AviUtlでは拡張編集機能を利用することで、一般的な動画編集ソフトのように高度な動画編集が可能になります。動画編集を始めるにあたり、まず最初に行うのが「新規プロジェクトの作成」です。このステップでは、動画の画面サイズ(解像度)や滑らかさ(フレームレート)などを設定しますが、初心者の方にとってはどの設定が最適なのか迷うことも多いでしょう。このページでは、AviUtlで新規プロジェクトを立ち上げる際の具体的な手順と、目的別の最適な解像度やフレームレートの設定について、プロの視点から詳しく解説します。
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AviUtlの[拡張編集] 基本の操作
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AviUtlで新規プロジェクトを作成する基本手順
AviUtlで動画編集を開始するには、まずタイムライン上に新規プロジェクトを作成する必要があります。以下の手順で簡単にプロジェクトを立ち上げることができます。
1. 拡張編集ウィンドウを表示し、タイムラインの空白部分を右クリック
AviUtlを起動し、拡張編集ウィンドウが表示されていることを確認します。拡張編集のタイムラインウィンドウの何もない場所で右クリックします。もし拡張編集ウィンドウが表示されていない場合は、「設定」メニューから「拡張編集の設定」にチェックを入れることで表示されます。
2. 「新規プロジェクトの作成」を選択
右クリックすると表示されるメニューの中から、「新規プロジェクトの作成」をクリックします。
3. プロジェクト設定ウィンドウで各種項目を設定
「新規プロジェクトの作成」をクリックすると、プロジェクト設定のウィンドウが表示されます。ここで、動画の「画像サイズ(解像度)」「フレームレート」「音声レート」などを設定します。これらの設定は、動画の品質やファイルサイズ、編集時のPC負荷に大きく影響するため、目的に合わせて慎重に選択しましょう。
プロジェクト設定は、動画編集の「土台」となる非常に重要なステップです。ここで設定した内容が、最終的な動画の品質や編集のしやすさを左右します。特に解像度とフレームレートは、一度設定すると後から直接変更できない項目もあるため、慎重に選びましょう。
ワンポイントアドバイス:もし「新規プロジェクトの作成」が表示されない場合は、すでに何らかのプロジェクトファイルが開かれている可能性があります。その際は、メインウィンドウの「ファイル」メニューから「閉じる」を選択して、現在のプロジェクトを一度閉じてから再度お試しください。
動画の目的別!AviUtlプロジェクトの最適な設定ガイド
動画をどのような目的で作成するかによって、最適なプロジェクト設定は異なります。ここでは、主要な用途に合わせた推奨設定をご紹介します。
各設定項目の基本的な意味
- 画像サイズ(解像度):動画の縦横のピクセル数を示します。数値が大きいほど高画質になりますが、ファイルサイズも大きくなり、PCへの負荷も増します。
- フレームレート(fps):1秒間あたりの画像枚数(フレーム数)を示します。数値が大きいほど動きが滑らかになりますが、ファイルサイズとPC負荷が増加します。
- 音声レート(Hz):音声のサンプリング周波数を示します。数値が大きいほど音質が向上します。一般的な動画では48000Hzが推奨されます。
YouTubeやWeb公開向け(HD/フルHD/4K)
現在のWeb動画の主流はフルHD(1920×1080)ですが、高画質を求めるなら4K(3840×2160)も選択肢に入ります。PCの性能と相談しながら最適な設定を選びましょう。
- 画像サイズ(解像度):
- フルHD: 1920×1080(最も一般的で汎用性が高い)
- HD: 1280×720(ファイルサイズを抑えたい場合や、PCスペックが低い場合)
- 4K: 3840×2160(高画質を追求する場合。ただしPCへの負荷は非常に高い)
- フレームレート: 29.97fps または 59.94fps(60fps)
- 日本のテレビ放送規格に合わせた滑らかさなら29.97fps。
- より動きの滑らかな動画(ゲーム実況など)を作成したい場合は59.94fps(60fps)が推奨されます。ただし、ファイルサイズが大きくなり、PC負荷も増します。
- 音声レート: 48000Hz(一般的な音声品質。DVDやBlu-rayでも採用される標準的なレートです。)

YouTubeなどのWeb動画では、視聴環境が多様なため、汎用性の高いフルHD(1920×1080)がおすすめです。4Kは高画質ですが、編集時のPC負荷や視聴者の回線速度も考慮しましょう。
DVD作成向け
最終的にDVDに書き出すことを目的とする場合、DVDの標準解像度に合わせた設定にすることで、編集中の動作を軽くし、作業効率を高めることができます。DVDの最終解像度は720×480ですが、AviUtlではアスペクト比を考慮した設定が推奨されます。
- 画像サイズ(解像度):
- 864×480(16:9のワイド画面に対応。DVDの720×480を正しく表示するための推奨設定です。)
- 640×480(4:3の標準画面に対応。)
- フレームレート: 29.97fps(日本のDVD規格に準拠します。)
- 音声レート: 48000Hz
DVD向けに高解像度で編集しても、最終的にDVDの解像度に合わせて変換されるため、画質が向上するわけではありません。むしろ、編集中の処理が重くなり、作業効率が低下する可能性があります。目的の出力形式に合わせた最適な設定を選ぶことが、スムーズな編集への近道です。
ワンポイントアドバイス:DVD作成を考えている場合、AviUtl単体ではDVDへの書き込み機能がないため、別途DVD作成ソフトが必要になります。
その他(ショート動画、ゲーム実況など)
- ショート動画(TikTokなど):スマートフォンでの視聴がメインとなるため、縦長のアスペクト比(例: 9:16、解像度1080×1920)が主流です。
- ゲーム実況:動きの激しいゲームの場合、59.94fps(60fps)に設定することで、より滑らかな映像を提供できます。ただし、PCへの負荷は高まります。
プロが教える!AviUtlプロジェクト設定のコツと落とし穴
AviUtlのプロジェクト設定は、一度決定すると後から変更できない項目があるため、特に注意が必要です。ここでは、プロの動画クリエイターが実践する設定のコツと、よくある失敗談をご紹介します。
PCスペックと設定のバランス
高解像度(4Kなど)や高フレームレート(60fps)での編集は、非常に高いPCスペックを要求します。特にCPU、GPU、メモリの性能が不足していると、プレビューがカクついたり、動作が重くなったり、最悪の場合AviUtlがクラッシュすることもあります。ご自身のPCスペックを把握し、無理のない範囲で設定を選びましょう。もしPCスペックに不安がある場合は、まずはHD(1280×720)やフルHD(1920×1080)から始めることをおすすめします。
快適な編集環境は、最終的な動画の品質にも直結します。無理な設定でPCに負荷をかけすぎると、作業効率が落ちるだけでなく、予期せぬエラーやクラッシュの原因にもなりかねません。まずは安定して動作する設定から始め、徐々にステップアップしていくのが賢明です。
アスペクト比の重要性
画像サイズを設定する際、単に解像度だけでなく「アスペクト比(縦横比)」も意識することが重要です。例えば、フルHDは16:9、DVDの標準は4:3や16:9です。素材のアスペクト比とプロジェクトのアスペクト比が異なると、映像が引き伸ばされたり、上下左右に黒帯が入ったりする原因になります。特にDVD作成の場合は、ドット単位でのアスペクト比補正が必要になることがあるため、上記の推奨設定を参考にしてください。
フレームレートは素材に合わせる原則
撮影した動画素材のフレームレートと、プロジェクトのフレームレートはできるだけ一致させるのが理想です。異なるフレームレートで編集すると、動きが不自然になったり、コマ落ちが発生したりする可能性があります。特にスマートフォンで撮影した動画は30fpsや60fpsが多いので、それに合わせて設定しましょう。

プロジェクト設定で最も重要なのは「目的」と「PCスペック」のバランスです。高画質を目指すのは良いですが、編集が快適に行える範囲で設定することが、最終的な動画の品質にも繋がります。
プロジェクト設定は「一度決めたら変更不可」の原則
AviUtlの新規プロジェクト作成時における「画像サイズ」と「フレームレート」は、一度設定すると後から直接変更することができません。これは他の動画編集ソフトとは異なるAviUtlの大きな特性の一つです。そのため、プロジェクト作成時には、最終的な出力形式やPCスペックを十分に考慮して設定を行う必要があります。
もし途中でプロジェクト設定を変更したくなった場合は、新しい設定でプロジェクトを新規作成し直し、既存の素材を読み込み直す必要があります。この点を理解しておくことで、後々の作業で戸惑うことを減らせます。

プロジェクト作成後のステップ:タイムライン操作と素材の読み込み
設定した画面サイズとフレームレートでプロジェクトが作成されると、AviUtlのタイムラインウィンドウで編集を開始できるようになります。ここからは、動画素材や画像、音声などをタイムラインに読み込んで、本格的な編集作業を進めていきましょう。
素材の読み込み方法は、AviUtlの拡張編集ウィンドウに直接ドラッグ&ドロップするか、「ファイル」メニューから「開く」を選択して読み込むのが一般的です。 読み込んだ素材はタイムライン上に配置され、トリミングやエフェクトの適用など、様々な編集が可能になります。

【Q&A】プロジェクトサイズを後から変更したい場合は?
一度作成したプロジェクトのサイズを後から変更したい、という要望はよく聞かれます。しかし、残念ながらAviUtlでは一度作成したプロジェクトの「画像サイズ(解像度)」を後から直接変更することはできません。
プロジェクトサイズの直接変更は不可
もし別のサイズでプロジェクトを作成し直したい場合は、もう一度「新規プロジェクトの作成」から新しいプロジェクトを立ち上げる必要があります。この点は、他の動画編集ソフトと異なるAviUtlの特性として理解しておきましょう。
書き出す動画のサイズ変更は可能
プロジェクトのサイズ自体は変更できませんが、最終的に「書き出す動画のサイズ」を変更することは可能です。これは、編集時の画面サイズと、最終的な出力動画のサイズを別々に設定できる機能です。
「ファイル」メニューから「設定」→「サイズの変更」を選択することで、出力時の解像度を調整できます。 例えば、フルHDで編集していたプロジェクトを、DVD用に720×480で出力するといったことが可能です。この機能は、プロジェクト作成時にサイズを間違えてしまった場合や、複数の出力形式に対応したい場合に非常に役立ちます。

プロジェクトサイズと出力サイズは別物と理解しておきましょう。編集は快適なサイズで行い、最終的な出力は目的に合わせて調整するという柔軟な使い方が可能です。
まとめ:最適なプロジェクト設定でAviUtl動画編集をマスターしよう
AviUtlで動画編集を始める上で、新規プロジェクトの作成と適切な設定は非常に重要なステップです。特に解像度とフレームレートは、最終的な動画の品質だけでなく、編集中のPC負荷や作業効率にも直結します。
この記事で解説した基本手順と目的別の推奨設定を参考に、ご自身のPCスペックと作成したい動画の用途に合わせて最適なプロジェクト設定を行いましょう。もし設定を間違えてしまっても、出力時のサイズ変更で対応できる場合もありますので、焦らず対処してください。これらの知識を身につけることで、AviUtlでの動画編集がよりスムーズで快適になるはずです。