結婚式のプロフィールムービーは、新郎新婦の生い立ちから出会い、そして現在に至るまでの大切な軌跡をゲストに紹介する感動的な演出です。このムービーの雰囲気を大きく左右するのがBGM。特に洋楽は、おしゃれで洗練された印象を与え、ゲストの心に深く響くムービー作りに貢献します。しかし、市販の楽曲を使用する際には「著作権」という大きな壁が立ちはだかります。
本記事では、著作権の心配なく安心して使える「著作権フリーの洋楽」に焦点を当て、その選び方から入手方法、効果的な編集テクニック、そして合法的な利用方法までを徹底的に解説します。これからプロフィールムービーを制作する新郎新婦の皆さんが、最高の思い出を彩る一本を完成させるための完全ガイドとしてご活用ください。
1. 結婚式ムービーと音楽著作権の基本
結婚式で流すムービーに音楽を使用する際、最も重要なのが「著作権」に関する理解です。知らずに市販の楽曲を使用すると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。まずは、音楽著作権の基本と、結婚式における適法な利用方法について解説します。
差し替えるだけで作れるプロフィールムービー
差し替えるだけでプロフィールムービーを作れます。まずは無料登録&ダウンロード!
1.1. 著作権とは?知っておくべき2つの権利
音楽には、主に2つの著作権が関係します。一つは「著作権(作詞・作曲家が持つ権利)」、もう一つは「著作隣接権(レコード製作者や歌手・演奏家が持つ権利)」です。これらはそれぞれ異なる団体によって管理されています。
- 演奏権:会場でBGMとしてCDやデジタル音源を流す際に発生する権利です。通常、結婚式場がJASRAC(日本音楽著作権協会)と包括契約を結んでいれば、新郎新婦が個別に申請する必要はありません。
- 複製権:プロフィールムービーやエンドロールなど、映像作品に音楽を「コピーして組み込む」際に発生する権利です。市販のCD音源をDVDに焼いたり、動画ファイルに埋め込んだりする場合に該当します。この複製権は、JASRACとレコード会社の両方から許諾を得る必要があります。
結婚式ムービーに市販の楽曲を使用する場合、会場でBGMとして流す「演奏権」とは別に、映像に音楽を組み込む「複製権」の処理が必須となります。特に、個人でムービーを制作する際は注意が必要です。
1.2. 市販曲利用の注意点とISUMの役割
市販の楽曲をプロフィールムービーに使用する場合、著作権と著作隣接権の両方の許諾を得る必要があります。この手続きをスムーズに行うために利用されるのが「ISUM(アイサム:一般社団法人音楽特定利用促進機構)」です。
- ISUMとは:ISUMは、結婚式で市販楽曲を適法に利用できるよう、著作権等管理事業者(JASRACなど)とレコード会社から許諾を得る手続きを代行する団体です。ISUMに登録されている楽曲であれば、一括で申請を行うことができます。
- 個人でのISUM申請はできない?:ISUMはブライダル事業者向けにサービスを提供しているため、新郎新婦個人が直接ISUMに申請することはできません。 そのため、通常は結婚式場や映像制作会社を通じて申請を行うことになります。
- ISUM申請の費用目安と流れ:ISUM申請には楽曲ごとに費用が発生し、プロフィールムービーで3曲使用する場合、10,000円程度の費用がかかることがあります。 申請は、式場や代行業者を通じて行い、許諾証が発行されます。

ISUMに登録されていない楽曲や、個人で制作し式場が対応していない場合は、各権利者へ直接問い合わせる必要があります。手間を省くなら、ISUM対応の楽曲を選ぶか、著作権フリーの音楽を利用するのがおすすめです。
1.3. 著作権フリー音楽が結婚式に最適な理由
著作権フリー音楽とは、著作権者の許可を得ずに自由に使用できる音楽、または特定の条件下で利用が許諾されている音楽を指します。結婚式のプロフィールムービーにおいて、著作権フリー音楽を選ぶことには多くのメリットがあります。
- 著作権侵害のリスクがない:最も大きなメリットは、著作権に関する心配なく安心して音楽を使用できる点です。高額な損害賠償請求などのリスクを回避できます。
- 費用を抑えられる:多くの著作権フリーサイトでは無料で楽曲を提供しており、有料サイトでも一度購入すれば追加料金なしで利用できるケースが多いです。これにより、結婚式全体の費用を抑えることができます。
- 幅広い選択肢:様々なジャンルや雰囲気の楽曲が豊富に揃っており、お二人の個性やムービーのテーマにぴったりの一曲を見つけやすいでしょう。
「著作権フリー」と「ロイヤリティフリー」は混同されがちですが、厳密には異なります。ロイヤリティフリーは、一度料金を支払えば追加の使用料なしで利用できる形式で、使用範囲が定められていることが多いです。完全に無料で使える「著作権フリー」とは区別して理解しておきましょう。
2. 著作権フリー洋楽の探し方と入手先
著作権フリーの洋楽は、インターネット上の様々なプラットフォームで入手可能です。無料のサイトから高品質な有料サービスまで、ニーズに合わせて選びましょう。
2.1. 無料で利用できるおすすめサイト
手軽に始めたい方や、予算を抑えたい方には、無料で利用できるサイトがおすすめです。利用規約をよく確認し、適切な方法でダウンロードしましょう。
サイト名 | 特徴 | URL |
---|---|---|
YouTube Audio Library | YouTube公式のオーディオライブラリ。約4万種類のBGMがあり、ログインしてYouTube Studioからダウンロード可能。 | YouTube Audio Library |
DOVA-SYNDROME | 12,000曲以上のBGMを無料でダウンロード可能。著作権表示不要、商用利用・加工OK。 | DOVA-SYNDROME |
Free Music Archive | 楽曲の種類やジャンルが豊富。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを使用しており、商用利用も可能。 | Free Music Archive |
d-elf.com | ウェディング向けのBGMも揃っており、無料ダウンロード可能。 | d-elf.com |
Particle-Music | 結婚式向けの著作権フリーBGMを無料で配布。商用利用も可能。 | Particle-Music |

無料サイトでも高品質な楽曲はたくさんあります。様々なサイトを巡って、お二人のイメージに合う曲を探すのがおすすめです!
2.2. 高品質な有料プラットフォーム
よりプロフェッショナルなクオリティや豊富な選択肢を求めるなら、有料のプラットフォームも検討しましょう。多くは月額制や年間契約制で、一度契約すれば多くの楽曲を自由に利用できます。
- Epidemic Sound:高品質な音楽と効果音を豊富に提供。結婚式ムービーにも最適です。 [Original]
- Artlist:おしゃれな洋楽BGMが多く、ボーカル入りの楽曲も充実。無料会員登録で1年間無制限ダウンロード可能な場合もあります。
- Audiostock:BGMだけでなく効果音なども購入可能。結婚式専用のBGMも2万曲近く提供されています。
Epidemic Soundなどの有料プラットフォームは、特におすすめです。
2.3. 利用規約の確認が最重要
著作権フリーやロイヤリティフリーの音楽を利用する際には、必ず各サイトの利用規約を詳細に確認することが不可欠です。
- 商用利用の可否:結婚式のムービーは「個人的な利用」と見なされることが多いですが、もし将来的にSNSなどで公開する可能性がある場合は「商用利用」の範囲に含まれるかを確認しましょう。
- クレジット表記の要不要:アーティスト名やサイト名のクレジット表記が必要な場合があります。必要な場合は、ムービーの最後に記載するなどして対応しましょう。
- 改変の可否:楽曲のカット、フェードイン・アウト、音量調整などは一般的に許容されますが、楽曲の構成を大きく変えるなどの「改変」が禁止されている場合もあります。

利用規約はサイトによって大きく異なります。特に「結婚式での利用」や「SNSでの公開」に関する記述は念入りにチェックしてくださいね。
3. プロフィールムービーを彩る著作権フリー洋楽の選び方
数ある著作権フリー洋楽の中から、お二人のプロフィールムービーに最適な一曲を見つけるためのポイントをご紹介します。
3.1. 選曲の基本原則
ムービーの印象を決定づけるBGM選びは、以下のポイントを意識して行いましょう。
- ムービーのテーマ・雰囲気に合わせる:感動的なムービーにしたいならバラード、明るく楽しい雰囲気にしたいならアップテンポな曲など、目指す雰囲気に合った曲調やテンポを選びましょう。
- 歌詞の内容を確認する(洋楽ならではの注意点):洋楽の場合、メロディーが良くても歌詞が別れの歌だったり、ムービーの雰囲気にそぐわない内容だったりすることがあります。必ず歌詞の意味を理解した上で選曲しましょう。
- ムービーの構成と曲数:プロフィールムービーは、一般的に「新郎生い立ち」「新婦生い立ち」「二人の馴れ初め」の3パートで構成されることが多く、それぞれのパートに1曲ずつ、合計3曲を使用するのが一般的です。 全体の長さが5~7分程度に収まるように調整しましょう。
- 写真や映像とのテンポの同期:曲のテンポに合わせて写真の切り替わりや映像の展開を調整することで、より一体感のあるムービーになります。特にサビやリズムの変わり目に合わせて映像を切り替えると効果的です。
洋楽は邦楽に比べて歌詞が直接的に伝わりにくい分、映像に集中してもらいやすいというメリットもあります。おしゃれな雰囲気を演出しやすいのも洋楽の魅力です。
3.2. シーン別おすすめ著作権フリー洋楽
具体的な楽曲名は著作権フリーの性質上、特定の有名曲を挙げるのが難しいですが、ここでは「どのような雰囲気の曲を選べば良いか」をテーマ別にご紹介します。多くの著作権フリーサイトでは、ジャンルやムードで検索できる機能がありますので、参考にしてください。
- 感動・ロマンティック系:
ピアノやストリングスが主体のアコースティックなバラードや、壮大なオーケストラサウンドの楽曲がおすすめです。しっとりとした雰囲気で、ゲストの涙を誘うような感動的なシーンにぴったりです。
例:Kevin MacLeodの「Carefree」のような、優しく心温まるメロディーの曲。
- 明るく楽しい・ポップ系:
アップテンポで軽快なリズムのポップスや、ウクレレなどの明るい音色が特徴の楽曲が人気です。新郎新婦の楽しいエピソードや、ゲストと一緒に盛り上がりたいシーンに最適です。
例:Kevin MacLeodの「Happy Life」のような、ポジティブで明るい雰囲気の曲。
- おしゃれ・スタイリッシュ系:
ジャズ、R&B、チルアウト系の楽曲や、洗練されたインストゥルメンタル曲がおすすめです。都会的でモダンな印象を与え、おしゃれなプロフィールムービーに仕上がります。
例:ArtlistやEpidemic Soundで提供されている、ボーカル入りのモダンなポップスや、インストゥルメンタルの楽曲。
関連性の高い記事も参考に、さらに選曲の幅を広げてみましょう。


4. 著作権フリー洋楽を使ったプロフィールムービーの編集テクニック
選んだ著作権フリー洋楽をムービーに効果的に組み込むための編集方法と、おすすめのツールをご紹介します。
4.1. 音楽挿入の基本手順
動画編集ソフトを使った音楽挿入は、以下の手順で行います。
- 楽曲のダウンロード:選んだ著作権フリーサイトから、使用したい楽曲をダウンロードします。
- 動画編集ソフトへのインポート:ダウンロードした楽曲ファイルを、使用する動画編集ソフト(Adobe Premiere Pro, iMovie, CapCutなど)にインポートします。 [Original, 22]
- ムービーへの配置:ムービーのタイムライン上に音楽ファイルを配置し、写真や映像の切り替わり、シーンの展開に合わせてタイミングを調整します。
- 音量調整:BGMが大きすぎるとナレーションや映像の雰囲気を損ねるため、適切な音量に調整しましょう。フェードイン・フェードアウトを活用すると、より自然な始まりと終わりを演出できます。
4.2. 効果的な編集のコツ
単に音楽を挿入するだけでなく、少しの工夫でムービーのクオリティは格段に向上します。
- フェードイン・フェードアウト:ムービーの開始時や終了時、または曲の切り替わりで、音量を徐々に上げたり下げたりする「フェードイン・フェードアウト」を使うと、プロのような滑らかな印象になります。
- 映像の切り替えと音楽のサビの同期:曲の盛り上がる部分(サビなど)に合わせて、印象的な写真や映像を切り替えることで、視覚と聴覚の両方から感動を呼び起こすことができます。
- 著作物の改変にあたらない範囲での編集:ISUMの規定にもあるように、楽曲の「改変」は著作権侵害にあたる可能性があります。 基本的に、楽曲のカットやフェードイン・アウト、音量調整は許容されますが、楽曲の構成を大きく変えるような編集は避けましょう。
4.3. おすすめ動画編集ツール
初心者でも使いやすいものから、プロ向けの多機能なものまで、様々な動画編集ツールがあります。
- Adobe Premiere Pro:プロも愛用する高機能な動画編集ソフト。細かい編集や高度なエフェクトも可能です。
- iMovie:Apple製品に標準搭載されている無料の動画編集ソフト。直感的な操作で初心者でも簡単にムービーを作成できます。 [Original, 33]
- CapCut:スマートフォンで手軽に動画編集ができる人気のアプリ。豊富なテンプレートやエフェクトがあり、SNSでの共有にも便利です。
5. よくある質問とトラブルシューティング
プロフィールムービーの音楽選びでよくある疑問や、困ったときの対処法について解説します。
Q1: 著作権フリーなのに有料の曲があるのはなぜ?
「著作権フリー」という言葉は、広義には「著作権者が権利を行使しない」という意味で使われることがありますが、厳密には「ロイヤリティフリー」と混同されているケースが多いです。ロイヤリティフリーの楽曲は、一度購入すれば追加の使用料なしで利用できますが、楽曲自体の購入費用は発生します。これは、高品質な楽曲を提供するための対価であり、著作権を放棄しているわけではありません。
Q2: 著作権フリーの曲はクオリティが低い?
一昔前はそういったイメージもありましたが、現在ではプロの作曲家やアーティストが制作した高品質な著作権フリー(またはロイヤリティフリー)の楽曲が多数存在します。特に有料のプラットフォームでは、映画やCMにも使われるようなハイクオリティな音源が豊富に提供されています。無料サイトでも、隠れた名曲が見つかることも少なくありません。
Q3: 自分で編集するのが難しい場合は?
動画編集に自信がない、時間がない、という場合は、プロの映像制作会社に依頼するのも一つの手です。多くの制作会社はISUMに加盟しており、市販曲の著作権処理も代行してくれます。また、著作権フリーの楽曲を使った制作プランを提供している会社もあります。費用はかかりますが、クオリティの高いムービーを安心して制作できるでしょう。
著作権に関するさらに詳しい情報は、以下の記事も参考にしてください。

まとめ:著作権フリー洋楽で最高のプロフィールムービーを
結婚式のプロフィールムービーは、お二人の大切な思い出をゲストと分かち合う特別な時間です。その感動を最大限に引き出すためには、BGM選びが非常に重要になります。著作権フリーの洋楽は、著作権の心配なく、おしゃれで心に残るムービーを制作するための強力な味方です。
本記事で解説したポイントを参考に、ぜひお二人らしい最高のプロフィールムービーを完成させてください。利用規約の確認を怠らず、適法に、そして安心して、結婚式という人生の晴れ舞台を彩りましょう。
プロフィールムービー制作のための最終チェックリスト
- ムービーのテーマと雰囲気に合った著作権フリー洋楽を選びましたか?
- 選んだ楽曲の利用規約(商用利用、クレジット表記など)を確認しましたか?
- 歌詞の内容がムービーのメッセージと合致していますか?
- ムービーの構成(新郎・新婦・二人パート)と曲数は適切ですか?
- 写真や映像の切り替わりと音楽のテンポが同期していますか?
- フェードイン・フェードアウトなど、効果的な編集テクニックを使いましたか?
- 著作物の改変にあたるような編集は避けていますか?
- 必要に応じて、プロの制作会社への依頼も検討しましたか?
これらのポイントを押さえることで、ゲストの心に深く刻まれる、素晴らしいプロフィールムービーが完成するはずです。お二人の新しい門出を、最高の音楽で祝福しましょう!