Adobe Premiere Pro(プレミアプロ)での動画編集において、プレビューモニターの操作は作業効率を大きく左右します。特に、ソースモニターやプログラムモニターに表示される「トランスポートコントロール」と呼ばれる再生ボタン群は、単なる再生・停止だけでなく、インポイント/アウトポイントの指定、スナップショットの保存など、多岐にわたる機能が集約されています。
これらのボタンを自分の編集スタイルに合わせてカスタマイズすることで、マウス操作の回数を減らし、より直感的でスムーズなワークフローを確立することが可能です。本記事では、Premiere Proのトランスポートコントロールを自由にカスタマイズし、あなたの動画編集作業を劇的に効率化するための具体的な方法を、プロの視点から詳しく解説します。
Premiere Proの「トランスポートコントロール」とは?
Premiere Proにおける「トランスポートコントロール」とは、ソースモニターやプログラムモニターの下部に表示される、再生や停止、コマ送りなどの操作を行うためのボタン群を指します。ソースモニターは個々のクリップをプレビューし、イン点・アウト点を設定する際に使用し、プログラムモニターはタイムライン上のシーケンス全体をプレビューする際に使用します。
これらのモニターは動画編集の根幹をなす部分であり、頻繁に操作することになります。そのため、トランスポートコントロールを自分の使いやすいようにカスタマイズすることは、編集作業の効率を飛躍的に向上させるための重要なステップとなります。
デフォルトの状態でも基本的なボタンは配置されていますが、Premiere Proには他にも多くの便利な機能がボタンとして用意されており、それらを自由に配置したり、不要なものを非表示にしたりすることで、あなただけの最適な編集環境を構築できます。
トランスポートコントロールのボタンをカスタマイズする基本手順
Premiere Proのトランスポートコントロールをカスタマイズする手順は非常にシンプルです。以下のステップに従って、あなたのワークフローに合わせた最適なレイアウトを作成しましょう。
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ボタンエディターを開く
ソースモニターまたはプログラムモニターの右下にある「ボタンエディター」アイコンをクリックします。このアイコンは、設定マーク(歯車アイコン)やプラスマーク(+)で表示されることが多く、Premiere Proのバージョンによって異なる場合があります。
クリックすると、利用可能なボタンアイコンが一覧表示される「ボタンエディター」パネルが開きます。
ボタンを追加・削除する
ボタンエディターに表示されているアイコンの中から、トランスポートコントロールに追加したい機能を、再生ボタンが並んでいるエリア(ボタンバー)にドラッグ&ドロップします。
逆に、不要なボタンやあまり使わないボタンは、ボタンバーからボタンエディターの領域、またはボタンバーの外にドラッグすることで削除できます。

プロの動画クリエイターとして、私は「よく使う機能だけを厳選する」ことを強く推奨します。ボタンが多すぎると、かえって目的の機能を探すのに時間がかかってしまいます。本当に必要なものだけに絞り込むことで、視覚的なノイズが減り、作業効率が格段に向上しますよ。
ボタンの並び順を変更する
ボタンバーに配置したボタンは、ドラッグして左右に移動させることで簡単に並び順を変更できます。よく使うボタンを手の届きやすい位置に配置したり、関連する機能をまとめて配置したりと、自由にレイアウトを調整しましょう。
ボタン間にスペースを挿入して整理する
機能ごとにボタンをグループ化したい場合や、視認性を高めたい場合は、「スペース用の空白のアイコン」をドラッグしてボタンバーに配置することで、ボタン同士の間隔を広げることができます。これにより、ボタンの視覚的な区切りが明確になり、目的のボタンを素早く見つけやすくなります。

私は特に、イン点・アウト点関連のボタンと再生関連のボタン、そしてマーカーや書き出し関連のボタンをそれぞれスペースで区切って配置しています。これにより、視線移動が最小限になり、直感的に操作できるようになります。
カスタマイズしたレイアウトを確定する
ボタンの追加、削除、並び替え、スペースの挿入が完了したら、ボタンエディターの「OK」ボタンをクリックして、新しいレイアウトを確定します。これにより、変更が適用され、モニターに反映されます。
ボタンレイアウトをリセットして元に戻す
もしカスタマイズしたレイアウトが使いにくかったり、元の状態に戻したい場合は、ボタンエディター内にある「ボタンレイアウトをリセット」のメニューからいつでも初期状態に戻すことができます。

「リセット」機能があるため、安心して様々なレイアウトを試すことができます。私も最初は色々なボタンを試してみて、最終的に自分にとって最も効率的な配置を見つけました。ぜひ、臆することなく色々なパターンを試してみてください。
効率アップ!カスタマイズで追加したいおすすめボタン
Premiere Proのトランスポートコントロールには、デフォルトでは表示されていないものの、追加することで作業効率が格段に向上する便利なボタンが多数存在します。ここでは、特におすすめのボタンをいくつかご紹介します。
- インポイント/アウトポイントへ移動(Go to In/Out Point)
クリップやシーケンスに設定したイン点やアウト点へ、再生ヘッドを一瞬で移動させることができます。カット編集や特定のシーンの確認時に非常に役立ちます。 - マーカーを追加(Add Marker)
再生ヘッドの位置にマーカーを追加するボタンです。動画の重要なポイントや修正箇所に目印を付けたい場合に重宝します。ショートカットキー「M」でも追加可能ですが、ボタンとして視覚的に配置しておくと便利です。 - フレームを書き出し(Export Frame)
現在表示されているフレームを静止画として書き出す機能です。サムネイル作成や、動画の一部を静止画として利用したい場合に役立ちます。 - ループ再生(Loop Playback)
イン点とアウト点で指定した範囲、またはシーケンス全体を繰り返し再生する機能です。細かい動きの確認や、BGMのタイミング調整などに便利です。 - インサート/上書き(Insert/Overwrite)
ソースモニターで選択したクリップを、タイムラインに挿入(既存クリップを押し出す)または上書き(既存クリップを置き換える)するボタンです。タイムラインへの素材配置をより正確に行いたい場合に役立ちます。

これらのボタンはあくまで一例です。あなたの動画編集の目的や頻繁に行う作業によって、最適なボタンは異なります。例えば、カラーグレーディングを頻繁に行うなら「比較表示」ボタン、オーディオ編集が多いなら「オーディオのみ再生」ボタンなど、自分のワークフローに合わせた選択が重要です。
ボタンカスタマイズと合わせて知っておきたい効率化のヒント
トランスポートコントロールのカスタマイズは、Premiere Proの作業効率を上げるための第一歩です。さらに効率を高めるために、以下のヒントも参考にしてください。
キーボードショートカットの活用
Premiere Proには、マウス操作を補完する強力なキーボードショートカットが多数用意されています。特に再生・停止・逆再生は「J」「K」「L」キーで操作するのが一般的で、これらを使いこなすことで、マウスに持ち替える手間を省き、編集リズムを崩さずに作業を進めることができます。
ボタンカスタマイズとショートカットキーは、どちらか一方だけを使うのではなく、両方を組み合わせて活用することで最大の効果を発揮します。例えば、頻繁に使う機能はボタンとして配置し、さらに素早く操作したい場合はショートカットキーを覚える、といった使い分けがおすすめです。
タイムラインの移動や拡大・縮小もショートカットキーで効率化できます。詳細は以下の記事も参考にしてください。

ワークスペースの最適化
モニターのボタンだけでなく、Premiere Pro全体のワークスペース(パネルの配置)も、作業効率に大きく影響します。よく使うパネルは大きく表示したり、デュアルモニター環境を構築したりすることで、視認性が向上し、作業スペースを最大限に活用できます。
ソースモニターの基本的な使い方や、プレビュー時のタイムラインスクロール設定など、関連する機能も合わせて見直すことで、より快適な編集環境を構築できるでしょう。


まとめ:自分だけの快適な編集環境を構築しよう
Premiere Proのソースモニターやプログラムモニターに表示されるトランスポートコントロールのボタンは、自由にカスタマイズが可能です。再生・停止といった基本的な操作だけでなく、イン点・アウト点の指定、マーカーの追加、静止画の書き出しなど、多岐にわたる機能を自分の使いやすいように配置することで、動画編集の作業効率を飛躍的に向上させることができます。
Premiere Proのような多機能なプロフェッショナルソフトでは、同じ結果を得るにも様々なアプローチが存在します。ボタンの追加・削除、並び替え、スペースの挿入といったカスタマイズ機能を活用し、さらにキーボードショートカットと組み合わせることで、あなただけの「最高の編集環境」を構築することが可能です。
最初は少し手間だと感じるかもしれませんが、一度最適な環境を構築してしまえば、日々の編集作業が格段にスムーズになります。ぜひ本記事を参考に、自分好みのプレビューボタンを作成し、効率的で快適な動画編集ライフを実現してください。