結婚式のクライマックスを飾るエンドロールムービーは、ゲストへの感謝を伝え、感動的な余韻を残す大切な演出です。しかし、「どんな曲を選べばいいの?」「著作権は大丈夫?」といった悩みを抱える新郎新婦様は少なくありません。
この記事では、結婚式のエンドロールに最適なBGMを見つけるための完全ガイドとして、フリー音源の活用法から、見落としがちな著作権のルール、そして市販曲を合法的に使用するための「ISUM(アイサム)」の仕組みまで、プロの視点から徹底的に解説します。このガイドを読めば、安心して、そして心に残るエンドロールムービーを完成させることができるでしょう。
結婚式エンドロールのBGM、なぜ「フリー音源」を検討するのか?
結婚式の準備は多岐にわたり、費用もかさむものです。その中で、エンドロールムービーのBGMに「フリー音源」を検討する新郎新婦様も多いのではないでしょうか。フリー音源には、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
しかし、「フリー」という言葉の解釈には注意が必要です。一般的に「著作権フリー」と表現される音源の多くは、厳密には「ロイヤリティフリー」と呼ばれるものです。これは、一度購入すれば追加の使用料なしで利用できるという意味で、著作権が放棄されているわけではありません。中には、クレジット表記などの条件付きで無料で利用できるものや、完全に著作権が放棄された「パブリックドメイン」の音源も存在しますが、その数は限られています。

「フリー」だからといって、どんな使い方でもOKというわけではありません。利用規約をしっかり確認することが大切です!
結婚式で音楽を使う際の「著作権」の基本と重要性
結婚式で音楽を使用する際、最も重要なのが著作権に関する理解です。市販の楽曲を無断で使用することは、著作権法違反となり、思わぬトラブルや罰則につながる可能性があります。
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著作権とは?「演奏権」と「複製権」の違い
音楽には、作詞家や作曲家が持つ「著作権」と、レコード会社やアーティストが持つ「著作隣接権」という2つの権利があります。結婚式で音楽を使用する際には、これら両方の許可を得る必要があります。
- 演奏権:結婚式場や披露宴会場でCDやデジタル音源をBGMとして流す際に必要となる権利です。多くの結婚式場はJASRAC(日本音楽著作権協会)と包括契約を結んでいるため、会場でBGMとして流す分には問題ない場合が多いです。ただし、事前に会場に確認することが重要です。
- 複製権:プロフィールムービーやエンドロールムービーなど、映像に音楽を組み込む際に必要となる権利です。これは、音楽を映像に「複製」する行為にあたるため、別途許諾が必要になります。
結婚式は個人的なイベントですが、ムービーを上映する行為は「公衆への上映」とみなされるため、著作権の処理が必須となります。たとえ友人が制作したムービーであっても、報酬が発生しない場合であっても、著作権法違反となる可能性があるため注意が必要です。

「個人的な利用だから大丈夫」という誤解は危険です。結婚式でのムービー上映は、著作権の観点から「公の場での利用」とみなされることが多いので注意しましょう。
市販曲を使いたいなら必須!「ISUM(アイサム)」とは?
市販されている人気楽曲を結婚式のエンドロールムービーで使用したい場合、その著作権処理を代行してくれるのが「ISUM(一般社団法人 音楽特定利用促進機構)」です。
ISUMの役割と仕組み
ISUMは、結婚式で市販の楽曲を適法に利用できるよう、著作権者や著作隣接権者から包括的な許諾を得て、その利用手続きを代行する団体です。ISUMに登録されている楽曲であれば、新郎新婦様は安心してムービーに使用することができます。
ISUMの楽曲データベースでは、結婚式でよく使われる人気曲が多数登録されており、ランキング形式で探すことも可能です。
個人での申請はできない?
ISUMへの申請は、原則として個人では行えません。ムービー制作業者や結婚式場など、ISUMと契約している事業者を通じて申請するのが一般的です。そのため、自作ムービーで市販曲を使いたい場合は、ISUMに対応している業者に依頼するか、著作権フリーの音源を探す必要があります。

市販曲を使いたい場合は、まず結婚式場のプランナーさんやムービー制作業者にISUM対応について確認しましょう。彼らが申請を代行してくれるはずです。

安心して使える!「著作権フリー・ロイヤリティフリー音源」の探し方と注意点
著作権の心配なくエンドロールムービーを作成したい場合は、著作権フリーまたはロイヤリティフリーの音源を活用するのがおすすめです。ただし、これらの音源も利用規約をしっかり確認することが重要です。
信頼できるフリー音源サイト
インターネット上には多くのフリー音源サイトが存在しますが、結婚式での利用に適した高品質な音源を提供しているサイトを選ぶことが大切です。
- Bensound:幅広いジャンルの高品質なロイヤリティフリー音源を提供しています。結婚式にぴったりの感動的でロマンティックな曲も見つかります。無料利用の場合はクレジット表記が必要です。
- Free Stock Music:こちらも高品質なフリー音源が豊富に揃っています。利用規約を確認し、適切な方法で利用しましょう。
- Particle-Music (Free BGM Particle-Music):結婚式向けの著作権フリーBGMを多数配布しているサイトです。商用利用も可能で、クレジット表記も不要な楽曲が多く、安心して利用できます。YouTubeチャンネルでも多くの楽曲が公開されています。
- YouTubeの著作権フリーBGMチャンネル:「結婚式 エンドロール フリー音源」などで検索すると、YouTube上にも多くの著作権フリーBGMを配布しているチャンネルが見つかります。利用規約やクレジット表記の有無を必ず確認しましょう。
ライセンス条件の確認方法
「フリー音源」と一口に言っても、その利用条件はサイトや楽曲によって様々です。ダウンロードする前に、必ず以下の点を確認しましょう。
- 商用利用の可否:結婚式でのムービー上映は、一般的に「商用利用」とみなされる場合があります。商用利用が許可されているか、または「個人的なイベントでの利用」が許可されているかを確認してください。
- クレジット表記の有無:音源の提供元やアーティスト名のクレジット表記が必要な場合があります。エンドロールの最後に記載するなど、適切な方法で表示しましょう。
- 加工の可否:音源の長さ調整や音量調整、エフェクトの追加などが許可されているかを確認します。
- 再配布の禁止:ダウンロードした音源を第三者に再配布することが禁止されている場合がほとんどです。

ライセンス条件は、サイトの「利用規約」や「FAQ」ページに記載されています。面倒でも必ず目を通し、不明な点があれば問い合わせるようにしましょう。
フリー音源でもプロフェッショナルな仕上がりにする方法
フリー音源でも、少しの工夫でプロフェッショナルな仕上がりのエンドロールムービーにすることができます。
- 音量調整とフェードイン・フェードアウト:映像の切り替わりやメッセージの表示に合わせて、BGMの音量を適切に調整しましょう。始まりと終わりにはフェードイン・フェードアウトをかけると、より自然な印象になります。
- エフェクトの追加:リバーブ(残響)やエコーなどのエフェクトを少量加えることで、音源に深みと広がりを与えることができます。
- 無料の音源編集ソフトを活用:「Audacity」などの無料音源編集ソフトを使えば、これらの編集作業を簡単に行うことができます。
エンドロールムービーのBGMは、映像の雰囲気を大きく左右します。選んだ音源が映像と本当にマッチしているか、何度も試聴して確認することが成功の鍵です。

無料の音源編集ソフトでも、基本的な編集は十分可能です。少し手間をかけるだけで、ムービーのクオリティが格段にアップしますよ!
エンドロールを感動的に彩るBGM選びのコツ
著作権の問題をクリアしたら、いよいよBGM選びです。エンドロールは結婚式の締めくくりとなるため、ゲストに良い余韻を残せるような曲を選ぶことが大切です。
雰囲気とテーマに合わせた選曲
エンドロールのBGMは、結婚式全体の雰囲気や新郎新婦の個性を反映させる重要な要素です。
- 感動的な雰囲気:しっとりとしたバラードや、壮大なクラシック音楽、心温まるインストゥルメンタル曲がおすすめです。歌詞がある場合は、感謝や未来への希望を歌ったものが良いでしょう。
- 明るく楽しい雰囲気:ポップでアップテンポな曲や、軽快なジャズなどが適しています。ゲストが笑顔で会場を後にできるような、ポジティブな曲を選びましょう。
- 歌詞の内容に注意:どんなにメロディーが良くても、「別れ」「失恋」「悲しみ」「死」などを連想させる歌詞の曲は避けるべきです。エンドロールは感謝と未来を表現する場であることを意識しましょう。
映像とのシンクロと長さ
BGMは、エンドロールの映像と一体となることで、より感動的な効果を生み出します。
- 適切な長さ:エンドロールの長さは、一般的に4~6分程度がおすすめです。長すぎるとゲストが飽きてしまう可能性があり、短すぎるとゲスト全員の名前や感謝のメッセージを載せきれない場合があります。選んだ曲の長さに合わせて映像を調整するか、複数の曲を繋ぐことも検討しましょう。
- 映像の展開に合わせた曲調の変化:ムービーのシーンに合わせて、BGMの盛り上がりや静けさを調整すると、よりドラマチックな演出が可能です。
- インストゥルメンタル曲の活用:歌詞がないインストゥルメンタル曲は、映像の邪魔をせず、幅広いシーンに合わせやすいというメリットがあります。歌詞に合う映像が難しい場合や、より普遍的な感動を演出したい場合に有効です。
人気のフリー/ロイヤリティフリー音源リスト
ここでは、結婚式のエンドロールにぴったりのフリー/ロイヤリティフリー音源の例をいくつかご紹介します。ただし、利用規約は常に変動する可能性があるため、ダウンロード前に必ず最新の情報を確認してください。
サイト名 | おすすめ楽曲例 | 特徴 |
---|---|---|
Bensound | Tenderness, Romantic | 優雅でロマンティックな雰囲気の曲が多く、感動的なシーンに最適です。 |
Free BGM Particle-Music | 始まりのエンドロール, 結ぶ日, 来てくれて | 結婚式のエンドロールをテーマにした日本語ボーカル曲や、感動的なインストゥルメンタル曲が豊富です。 |
YouTubeチャンネル | 各チャンネルの「結婚式向け」プレイリスト | 様々なクリエイターが著作権フリーBGMを公開しています。試聴しながら好みの曲を探せます。 |
市販曲の人気ランキングも参考にしたい場合は、ISUMの週間申請ランキングをチェックしてみるのも良いでしょう。ただし、これらの曲はISUM経由での申請が必要となることを忘れないでください。


結婚式場での音源使用に関する確認事項
エンドロールムービーの準備が整ったら、最後に結婚式場での上映に関する確認を怠らないようにしましょう。
- 会場のBGM規定:結婚式場によっては、持ち込みのBGMやムービーに関する独自の規定がある場合があります。特に、著作権処理がされていない音源の使用を禁止している会場も少なくありません。
- 持ち込みムービーの音源に関するルール:自作ムービーを持ち込む場合、音源の著作権処理について、会場側がどのように確認するのか、またはISUM対応の業者を通じて申請が必要なのかを事前に確認しましょう。
これらの確認を怠ると、せっかく準備したムービーが上映できない、または著作権侵害のトラブルに発展する可能性もあります。早めにプランナーや会場担当者と密に連携を取り、不明な点はクリアにしておくことが大切です。

結婚式場との連携は非常に重要です。特に著作権に関するルールは会場によって異なる場合があるので、必ず事前に確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。
まとめ
結婚式のエンドロールムービーは、新郎新婦とゲストにとって忘れられない感動的な思い出となる大切な演出です。最適なBGMを選ぶためには、単に「好きな曲」を選ぶだけでなく、著作権に関する正しい知識と、フリー音源やISUMといった選択肢を理解することが不可欠です。
この記事でご紹介したポイントを押さえ、フリー音源のメリットを活かしつつ、著作権のルールを遵守することで、安心して最高のエンディングを創り上げることができます。ぜひこのガイドを参考に、お二人の感謝の気持ちと幸せな未来を映し出す、心に残るエンドロールムービーを完成させてください。