AviUtlは、そのシンプルなインターフェースから、一見すると本格的な動画編集ソフトとは気づきにくいかもしれません。しかし、この「通常モード」こそがAviUtlの基盤であり、拡張編集機能を使わない簡易的なカット編集やフィルタ適用、エンコード(動画ファイルの書き出し)を行う上で非常に重要な役割を担っています。このページでは、AviUtlの「通常モード」の画面構成と、その各要素が持つ役割、そして通常モードでできること・できないことを詳しく解説します。
AviUtlの「通常モード」を理解することは、その後の拡張編集機能を使った高度な動画編集へのスムーズな移行にも繋がります。まずは基本をしっかりと押さえましょう。
AviUtl「通常モード」の画面構成と各部の役割
AviUtlの通常モードは、動画のプレビューと基本的な操作に特化した、非常にシンプルなレイアウトが特徴です。このシンプルさゆえに、初心者でも直感的に操作を始めることができます。まずは、通常モードの全体像と、各部の名称、そしてそれぞれの役割を見ていきましょう。
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1. タイトルバー:動画情報の表示窓
AviUtlの最上部に位置するタイトルバーは、単なるウィンドウのタイトル表示に留まらず、現在読み込んでいる動画素材に関する重要な情報を提供します。具体的には、取り込んだファイルの名称、動画の解像度(例:1920×1080)、そして現在のフレーム番号などがリアルタイムで表示されます。

動画の解像度やフレームレートは、エンコード設定の際に非常に重要になります。ここで表示される情報を確認し、適切な設定を行うようにしましょう。
2. メニューバー:機能への玄関口
メニューバーは、AviUtlのあらゆる機能にアクセスするための起点となります。ファイル操作(開く、保存、出力など)はもちろんのこと、各種設定、プラグインの管理、そして動画編集の主戦場となる「拡張編集」モードへの切り替えもここから行います。 初期状態ではシンプルですが、必要な機能やプラグインを導入することで、メニュー項目が豊富に増えていきます。

本格的な動画編集を行うには、メニューバーの「設定」から「拡張編集の設定」を選択し、拡張編集ウィンドウを表示させることが必須です。この操作を覚えておくと、編集の幅が格段に広がります。
3. メインウィンドウ:映像のプレビューエリア
メインウィンドウは、現在編集中の動画クリップがリアルタイムで表示される最も重要な領域です。動画は静止画の集合体である「フレーム」で構成されており、このウィンドウには現在指定しているフレームの映像が映し出されます。 後述するスライダーを操作することで、任意の時間の映像を瞬時に確認できます。多くのユーザーは、このメインウィンドウで動画を再生する設定を推奨しています。

メインウィンドウは、編集結果を視覚的に確認する上で欠かせません。特にカット編集やフィルタ適用時には、このプレビューを見ながら微調整を行うことで、より精度の高い編集が可能になります。
4. 音声データの波形表示:音の視覚化
動画クリップに音声データが含まれている場合、メインウィンドウの下部にその音声データが波形として表示されます。この波形を見ることで、音の大小や無音部分、特定の音の発生箇所などを視覚的に把握することができます。音量調整やカット編集の際に、波形は非常に役立つ情報源となります。

音声波形は、BGMのフェードイン・アウトのタイミング調整や、不要なノイズ部分の特定など、音に関する編集作業の効率を大幅に向上させます。
5. スライダー:時間軸を操作する
スライダーは、動画の時間軸を自由に移動させるためのツールです。これを左右にドラッグすることで、動画の任意の時間やフレームに瞬時に移動し、メインウィンドウにその時点の映像を表示させることができます。特定のシーンを確認したり、カット編集の開始点・終了点を正確に指定したりする際に頻繁に利用します。

スライダーだけでなく、キーボードの左右矢印キーを使うと、1フレームずつ細かく移動できます。より正確な位置調整が必要な場合に活用しましょう。
「通常モード」でできること・できないことの明確な違い
AviUtlの「通常モード」は、そのシンプルさゆえにできることとできないことが明確に分かれています。これを理解することで、目的に応じて効率的にAviUtlを使いこなすことができます。
通常モードで「できること」
- 動画ファイルの読み込みと再生: MP4やAVIなど、対応する動画ファイルを読み込み、メインウィンドウで再生・プレビューできます。L-SMASH Worksなどの入力プラグインを導入することで、より多くの形式に対応可能です。
- 簡易的なカット編集(入出力点の設定): スライダーを使って動画の開始点(入点)と終了点(出点)を指定し、不要な部分をカットすることができます。これは、動画のトリミングや部分的な抜き出しに非常に便利です。
- 基本的なフィルタの適用: リサイズ(動画のサイズ変更)、色調補正(明るさ、コントラスト調整)、ノイズ除去など、単一の動画クリップに対して基本的なフィルタを適用することが可能です。
- エンコード(動画ファイルの書き出し): 編集した動画を、MP4などの形式で最終的な動画ファイルとして出力することができます。x264guiExなどの出力プラグインを導入することで、高画質・高圧縮のMP4形式での出力が可能になり、動画を共有したり、他のデバイスで再生したりするために不可欠な作業となります。
通常モードは、あくまで「動画の読み込み、簡易的なカット、フィルタ適用、エンコード」といった基本的な作業に特化しています。これらの作業を素早く行いたい場合に非常に役立ちます。
通常モードで「できないこと」(拡張編集で可能になること)
- 複数レイヤーでの複雑な合成: 複数の動画や画像を重ねて表示したり、ピクチャーインピクチャーのような複雑なレイアウトを作成したりすることはできません。
- 高度なエフェクトやトランジションの適用: 画面切り替え効果(トランジション)や、動画に動きを与えるような高度なエフェクトは、通常モードでは適用できません。
- テキストや図形の自由な配置: 字幕やテロップ、図形などを動画上に自由に配置したり、アニメーションさせたりする機能はありません。
- タイムライン上での細かなオブジェクト操作: 拡張編集で可能となる、タイムライン上でのオブジェクトの分割、結合、移動、長さの調整といった細かな操作はできません。

よりクリエイティブで複雑な動画編集を行うには、拡張編集機能の活用が不可欠です。通常モードでできることとできないことを理解し、目的に応じてモードを使い分けることがAviUtlを効率的に使う鍵となります。
「通常モード」から「拡張編集」へのスムーズな移行ガイド
AviUtlの真価を発揮し、本格的な動画編集を行うためには、「拡張編集」機能の導入と活用が不可欠です。通常モードでAviUtlの基本的な操作に慣れたら、次のステップとして拡張編集への移行を検討しましょう。
拡張編集ウィンドウは、メニューバーの「設定」から「拡張編集の設定」を選択することで表示できます。 この操作を行うと、タイムラインやレイヤーといった、より高度な編集を行うためのインターフェースが出現します。
拡張編集では、複数の動画や画像を重ね合わせたり、テキストや図形を自由に追加したり、多彩なエフェクトやトランジションを適用したりと、表現の幅が格段に広がります。 AviUtlの可能性を最大限に引き出すためにも、ぜひ拡張編集の導入と使い方をマスターしてください。

AviUtlをより快適に、そして多機能に活用するためには、L-SMASH Works(入力)、x264guiEx(出力)、patch.aul(バグ修正・機能追加)といった必須級のプラグイン導入が強く推奨されます。これらを導入することで、有料ソフトにも劣らない編集環境を構築できます。



まとめ:AviUtlの基本をマスターし、動画編集の可能性を広げよう
AviUtlの「通常モード」は、そのシンプルな画面構成の中に、動画の読み込み、プレビュー、簡易的なカット編集、そしてエンコードといった基本的な機能を凝縮しています。このモードを理解することは、AviUtlを使い始める上での最初の、そして最も重要なステップです。
通常モードで基本的な操作に慣れ、動画編集の感覚を掴んだら、次は「拡張編集」機能へとステップアップすることで、AviUtlの持つ無限の可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。目的に応じて適切なモードを使い分け、あなたのクリエイティブな動画制作を楽しんでください。