結婚式ムービーにおいて、映像と同じくらい重要なのが「音」です。感動的なシーンを際立たせるBGMや、新郎新婦の想いを伝えるナレーションなど、音の編集はムービーのクオリティを大きく左右します。しかし、時には元々入っている音声を消して、新しいBGMやナレーションを追加したいという場面も出てくるでしょう。
本記事では、かつて多くのWindowsユーザーに親しまれた「Windows ムービーメーカー」で動画の音を消す具体的な方法を解説します。ただし、**Windows ムービーメーカーは2017年1月にMicrosoftによる公式サポートが終了し、現在ではダウンロード提供も行われていません。** 非公式なサイトからのダウンロードは、ウイルス感染などのリスクを伴うため、決して推奨されません。
もし現在もムービーメーカーをお使いの方のために、その機能を使った音の消し方をご紹介しますが、より高度な編集や安定した動作を求める場合は、現代の動画編集ソフトへの移行を強くお勧めします。本記事の後半では、結婚式ムービー制作に最適な代替ソフトや、音楽編集における著作権の注意点についても詳しく解説します。
Windows ムービーメーカーで音を消す基本的な方法(※非推奨)
ムービーメーカーで動画の音を消す方法はいくつかありますが、ここでは最も基本的な2つのアプローチをご紹介します。ただし、**ムービーメーカーは現在サポートが終了しており、セキュリティリスクや機能の限界があるため、利用は推奨されません。**
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1. 動画クリップ全体の音量をゼロにする
この方法は、動画クリップ全体から音声を消したい場合に最もスタンダードな手順です。元々音声が含まれている動画素材に、後からBGMやナレーションを重ねたい場合に特に有効です。
手順:
- 音を消したい動画クリップをタイムライン上で選択します。
- 選択したクリップをダブルクリックするか、「ビデオツール」タブを開きます。
- 「編集」タブ内にある「ビデオボリューム」の項目をクリックします。
- 表示されるスライダーを一番左(ゼロ)に調整します。
これで、選択した動画クリップ全体の音声が聞こえなくなります。複数の動画クリップを組み合わせて編集している場合でも、この方法で個別に音量を調整できます。

この方法は、元の動画の環境音や会話を完全に消して、BGMやナレーションをメインにしたい場合に最適です。特に、結婚式ムービーで感動的なシーンに集中させたい時に役立ちます。
2. ムービー出力時に音声を無効にする
この方法は、編集中のプロジェクト全体から音声を完全に除去してムービーとして出力したい場合に適しています。編集段階での個別のボリューム調整に関わらず、最終的な出力ファイルからすべての音声データが取り除かれます。
手順:
- 「ホーム」タブをクリックします。
- 「ムービーの保存」をクリックし、「カスタム設定の作成」を選択します。
- 出力設定画面で「オーディオ無し」のオプションを選択します。
- 設定を保存し、ムービーを出力します。
この方法で出力されたムービーは、音声チャンネル自体が含まれないため、ファイルサイズがわずかに軽くなる可能性があります。「ボリュームをゼロにする方法」と異なり、ムービーデータ内に音声チャンネルが残らないため、完全に音声を排除したい場合に有効です。

結婚式ムービーで、映像のみを共有したい場合や、後から別のソフトウェアで音声を完全に加え直す予定がある場合にこの出力設定は便利です。
ムービーメーカーで部分的に音を消す応用テクニック(※非推奨)
動画クリップ内の一部分だけ音を消したいというケースもよくあります。ムービーメーカーは他のプロフェッショナルな動画編集ソフトのようにキーフレームを使った細かな音声制御はできませんが、「分割」機能と「フェード」機能を組み合わせることで、部分的なミュートを実現できます。
「分割」機能と「フェード」機能を活用する
特定のシーンの会話や不要なノイズだけを消したい場合に、このテクニックが役立ちます。
手順:
- 音を消したい部分の開始位置にタイムラインのインジケータを合わせ、「分割」機能を使って動画クリップを分割します。
- 次に、音を消したい部分の終了位置にインジケータを合わせ、再度「分割」します。これにより、目的の部分が独立したクリップとして切り出されます。
- 切り出した独立した動画クリップを選択し、前述の「ボリュームをゼロにする方法」で音量を0に設定します。
さらに自然な音のつながりを実現するために、ミュートしたクリップの前後のクリップに「フェードアウト」と「フェードイン」を適用します。
フェードの適用:
- ミュートしたクリップの直前のクリップを選択し、「ビデオツール」タブの「編集」から「フェードアウト」を選択します。
- ミュートしたクリップの直後のクリップを選択し、「ビデオツール」タブの「編集」から「フェードイン」を選択します。
これにより、音が徐々に小さくなり、ミュート区間に入り、その後徐々に音が戻るというスムーズな切り替わりが実現します。フェードを使わないと、音が突然途切れて不自然に聞こえるため注意が必要です。

結婚式ムービーでは、特にBGMとナレーションの切り替えや、特定のシーンで会話を際立たせたい場合に、このフェードイン・アウトが非常に重要です。自然な音の演出は、ムービー全体の印象を格段に向上させます。

Windows ムービーメーカーの音声編集における限界と課題
ムービーメーカーはシンプルな操作性で多くのユーザーに愛されましたが、音声編集においてはいくつかの機能的な限界があります。特に、プロフェッショナルな動画編集ソフトと比較すると、その差は顕著です。
- **キーフレーム制御の欠如:** ムービーメーカーでは、時間軸に沿って細かく音量を調整する「キーフレーム」機能がありません。これにより、例えばBGMを徐々に小さくしてナレーションを際立たせ、その後またBGMを大きくするといった繊細な音量変化のコントロールが非常に困難です。
- **部分的な音量調整の複雑さ:** 上記で紹介した「分割」と「フェード」を組み合わせる方法は、部分的なミュートには有効ですが、音量を微妙に下げたり上げたりするような中間的な調整には不向きです。また、後からタイミングを微調整したい場合に、複数のクリップを再編集する必要があり、手間がかかります。
- **ノイズ除去機能の不足:** 撮影時の環境音や不要なノイズを除去する機能はほとんどありません。結婚式ムービーでは、会場のざわめきやマイクのノイズなどが入り込むことがあり、これらをきれいに処理するには専門的な機能が必要です。
これらの限界は、ムービーメーカーが簡易的な動画編集ソフトとして設計されていたことに起因します。より高度で柔軟な音声編集を求める場合は、現代の動画編集ソフトの利用を検討するべきでしょう。
結婚式ムービー制作に最適な現代の動画編集ソフト(代替ソフトの紹介)
Windows ムービーメーカーのサポート終了に伴い、現在では多くの高性能な動画編集ソフトが登場しています。特に結婚式ムービーのように、高品質な映像と音声を求める場合には、これらの代替ソフトの利用が不可欠です。
なぜ現代の動画編集ソフトを選ぶべきか
現代の動画編集ソフトは、ムービーメーカーにはない多くのメリットを提供します。
- **高度な音声編集機能:** キーフレームによる精密な音量調整、ノイズ除去、イコライザー、オーディオミキサーなど、プロレベルの音声編集が可能です。
- **マルチトラック編集:** 複数の動画トラックと音声トラックを同時に扱えるため、BGM、ナレーション、効果音などを自由に重ねて編集できます。
- **豊富なエフェクトとテンプレート:** 結婚式ムービーにぴったりのトランジション、タイトル、フィルター、テーマなどが豊富に用意されており、初心者でもプロのような仕上がりに近づけられます。
- **安定性と互換性:** 最新のOSに対応し、様々な動画・音声フォーマットをサポートしているため、安心して作業を進められます。
おすすめの代替ソフト
結婚式ムービー制作におすすめの動画編集ソフトをいくつかご紹介します。これらのソフトは、実際に多くのクリエイターが利用しており、ムービーメーカーでは難しかった細かな音声調整や、より魅力的な映像表現を可能にします。無料体験版を提供しているソフトも多いので、実際に試してみてご自身に合ったものを見つけるのが良いでしょう。
ソフト名 | 特徴 | 結婚式ムービー制作への適性 |
---|---|---|
**PowerDirector (パワーディレクター)** | 直感的な操作性と豊富な機能を両立。初心者から上級者まで幅広く対応。AI機能も充実。国内シェアNo.1の実績。 | 豊富なテンプレートとエフェクトで、感動的な結婚式ムービーを効率的に作成可能。高度な音声編集も◎。キーフレームによる音量調整も容易。 |
**Filmora (フィモーラ)** | シンプルで分かりやすいインターフェースが特徴。エフェクトやBGM素材も豊富。 | 初心者でも扱いやすく、おしゃれな結婚式ムービーを手軽に作成できる。音声のノイズ除去機能も搭載。 |
**VideoProc Vlogger (ビデオプロック ブイロガー)** | 完全無料で高機能。直感的な操作で初心者でもプロ並みの動画が作れる。 | 結婚式ムービーに必要な基本的な編集機能が揃っており、無料で高品質なムービーを作りたい方におすすめ。フェードイン・アウトも簡単。 |
**Windows フォト (Windows 10/11標準搭載)** | Windows 10/11に標準搭載されている簡易的な動画編集機能(ビデオエディター機能やClipchamp)。 | 非常に簡単なカット編集やBGM追加、テキスト挿入が可能。手軽にスライドショー形式のムービーを作りたい場合に。 |


結婚式ムービーの音楽編集で知っておくべき著作権の基礎知識
結婚式ムービーに市販の楽曲を使用する場合、著作権について理解しておくことが非常に重要です。著作権には「複製権」と「演奏権」などがあり、特に自作ムービーで市販楽曲を使う際には「複製権」が問題となります。
複製権とは:
CDや配信音楽などの音源をコピーして、動画に組み込む際に発生する権利です。個人的に楽しむ範囲(私的利用)であれば問題ありませんが、結婚式ムービーのように「公衆に聞かせる目的」で利用する場合、原則として著作権者の許諾が必要です。
結婚式場での上映であっても、市販楽曲をBGMとしてムービーに組み込む場合は、JASRAC(日本音楽著作権協会)と日本レコード協会(または各レコード会社)の両方から許諾を得る必要があります。 多くの結婚式場では、JASRACとの包括契約を結んでいる場合がありますが、これは「演奏権」に関するものであり、「複製権」は別途手続きが必要となるケースがほとんどです。
無許可で市販楽曲を使用すると、著作権侵害となり、法的な問題に発展する可能性があります。お祝いの場でトラブルを避けるためにも、安心して結婚式ムービーを制作・上映するためには、以下のいずれかの方法を検討しましょう。
- **著作権フリーのBGMを利用する:** 多くのサイトで、結婚式ムービーに利用できる著作権フリーのBGMが提供されています。
- **ISUM(一般社団法人音楽特定利用促進機構)を利用する:** ISUMは、結婚式での楽曲利用に関する著作権処理を代行するサービスです。ISUMに登録されている楽曲であれば、比較的簡単に許諾を得て利用できます。
- **式場提携の業者に依頼する:** 著作権処理を含めてムービー制作を依頼すれば、新郎新婦が個別に手続きをする手間が省けます。

結婚式ムービーをSNSなどで公開する予定がある場合は、さらに注意が必要です。私的利用の範囲を超えるため、別途商用利用可能なライセンスを取得するか、著作権フリーの素材のみを使用するようにしましょう。著作権に関する詳細は、JASRACやISUMなどの専門機関のウェブサイトを確認することをおすすめします。
まとめ
Windows ムービーメーカーは、かつて手軽に動画編集を楽しめるツールとして多くのユーザーに利用されました。動画の音を消す方法も、全体ボリュームの調整や出力時の設定、そして「分割」と「フェード」を組み合わせることで部分的なミュートも可能です。
しかし、ムービーメーカーはすでにサポートが終了しており、現代の動画編集ソフトと比較すると、特に音声編集の面で機能的な限界があります。結婚式ムービーのように、人生の大切な瞬間を彩る映像作品を制作する際には、より高度な機能と安定性を提供するPowerDirectorやFilmoraといった代替ソフトの利用を強くお勧めします。
適切なツールを選び、著作権に配慮しながら、新郎新婦の想いが詰まった最高の結婚式ムービーを完成させてください。音の編集をマスターすることで、感動と記憶に残る素晴らしい作品が生まれることでしょう。
