AviUtlで文字の表示を文字単位で分ける方法 [制御文字]

AviUtlで動画編集を行う際、テキストの表示は視聴者の注意を引きつけ、メッセージを効果的に伝える上で非常に重要な要素です。しかし、「テキストオブジェクト全体をまとめて同じ表示速度にするのは簡単だけど、1文字ずつ、あるいは行ごとに表示速度や色、サイズを変えたい」と感じたことはありませんか?そんな時に役立つのが、AviUtlの強力な機能「制御文字」です。この特殊なコマンドを使いこなすことで、あなたのテキスト表現は飛躍的に向上し、まるでプロが作ったかのような高度なテキストアニメーションを簡単に実現できるようになります。

本記事では、AviUtlの制御文字の基本から、文字の表示速度をコントロールする「<r>」をはじめ、文字のサイズ、色、位置などを自在に操る様々な制御文字について、具体的な使い方と応用例を詳しく解説します。これを読めば、あなたの動画のテロップや字幕が、より魅力的で印象的なものに変わるはずです。

AviUtl「制御文字」の基礎知識

制御文字とは?

AviUtlにおける「制御文字」とは、テキストオブジェクトの入力欄に直接記述することで、その後のテキストの表示方法や属性を細かく制御できる特殊なコマンドのことです。通常のテキスト編集ではオブジェクト全体に設定が適用されますが、制御文字を使えば、1文字単位や特定の行に対して、個別にアニメーションや装飾を施すことが可能になります。これは、ウェブページを作成するためのHTML言語のタグと非常に似た概念と考えると理解しやすいでしょう。

なぜ制御文字を使うべきなのか?

制御文字の最大のメリットは、複雑なテキストアニメーションを「中間点」や「個別オブジェクト」を多用せずに、テキスト入力だけで手軽に実現できる点にあります。これにより、タイムラインが煩雑になるのを防ぎ、編集作業の効率を大幅に向上させることができます。例えば、タイプライターのように文字が順に表示される演出も、制御文字一つで簡単に作成可能です。

制御文字の基本的な書き方と適用範囲

制御文字は、半角の「<」と「>」で囲んで記述します。例えば、表示速度を制御する「<r15>」のように使います。一度記述された制御文字の効果は、その後のすべてのテキストに適用されます。特定の範囲にのみ適用したい場合は、効果をリセットする制御文字(例: <s>でサイズをリセット)や、別の制御文字で上書きすることで調整します。

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ワンポイントアドバイス:AviUtlのインストールフォルダにある「exedit.txt」には、すべての制御文字とその詳細な使い方が記載されています。困った時はまずここを確認しましょう!

文字の表示速度を自在に操る「<r>」制御文字

「<r>」制御文字は、テキストを1秒間に何文字表示するかを指定することで、文字が順に現れる速度をコントロールします。これは、特に「タイプライター演出」と呼ばれる、文字が打ち込まれるように表示されるアニメーションを作成する際に非常に便利です。

「<r>」制御文字の書式と意味

書式は以下の通りです。

  • <r1秒間に表示する文字数>

「r」の後に続く数値は、1秒間に表示したい文字数を表します。この数値を調整することで、表示速度を速くしたり遅くしたりできます。

具体的な使用例:タイプライター演出の作り方

以下に、具体的な使用例を挙げます。

  • <r0>この行は一瞬で表示されて、:数値「0」を指定すると、その行のテキストは瞬時にすべて表示されます。
  • <r1>この行は1秒間に1文字ずつ表示される。:1秒間に1文字ずつ、非常にゆっくりと表示されます。
  • <r10>この行はタイプライターの表現に近い形で1秒間に10文字ずつ順番に表示される:タイプライターが文字を打ち込むような、自然な速度で表示されます。

複数行にわたる表示速度のコントロール

「<r>」制御文字は、1つのテキストオブジェクト内で複数行にわたるテキストの表示速度を個別にコントロールすることも可能です。これにより、会話のテンポや強調したい部分に応じて、柔軟な演出ができます。

  • 複数の行にまたがったコメントの場合には、
    <r1>この行は1秒につき1文字ずつゆっくりと表示されていき、
    <r5>その後続けてこの行が1秒間につき5文字ずつと速度が速く変化して表示されていきます。
    <r0>は即時全部表示する指定方法です。

FPSと表示速度の関係

「<r>」制御文字の「1秒間に表示する文字数」は、動画のフレームレート(FPS)に影響されます。例えば、30FPSの動画で「<r30>」と指定すると、1秒間に30文字表示されるため、実質的に1フレームに1文字ずつ表示されることになります。60FPSの動画であれば、「<r60>」で1フレーム1文字表示です。動画のFPSに合わせて数値を調整することで、より意図通りの表示速度を実現できます。

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ワンポイントアドバイス:動画のテンポやBGMに合わせて表示速度を調整すると、よりプロフェッショナルな印象を与えられます。特に歌詞表示では、歌声と文字の同期が重要です!

表示タイミングを一時停止させる「<w>」制御文字

「<w>」制御文字は、テキストの表示を一時的に停止させたい場合に利用します。例えば、タイプライター演出で特定の単語の後に間を置きたい時などに効果的です。

「<w>」制御文字の書式と意味

書式は以下の通りです。

  • <w待機秒数>

「w」の後に続く数値は、テキストの表示を停止させる秒数を表します。

「<r>」と「<w>」の組み合わせでより高度な演出

「<r>」と「<w>」を組み合わせることで、より自然で表現豊かなテキストアニメーションが可能です。例えば、以下のように記述することで、会話の間の表現などを細かく演出できます。

<r10>こんにちは、<w0.5>お元気ですか?<r5>今日は良い天気ですね。

この例では、「こんにちは、」がタイプライター風に表示された後、0.5秒間表示が停止し、その後に「お元気ですか?」が続き、さらに速度を落として「今日は良い天気ですね。」と表示されます。

さらに表現を広げる!その他の主要な制御文字

AviUtlには、「<r>」や「<w>」以外にも、テキストの見た目を細かく調整できる様々な制御文字が存在します。これらを活用することで、よりリッチな動画表現が可能になります。

文字のサイズ・フォントを変更する「<s>」

「<s>」制御文字は、文字のサイズやフォント、さらには太字や斜体といった装飾を変更できます。

  • 書式:<s[サイズ][,フォント名][,装飾(B:太字, I:斜体)]>
  • 使用例:
    • 普通の文字<s200>大きい文字<s>元のサイズ:サイズ200の文字を表示し、その後「<s>」でデフォルトサイズに戻します。
    • <s150,Meiryo UI,BI>メイリオの太字斜体:メイリオフォントでサイズ150、太字斜体の文字を表示します。

文字の色を変更する「<#>」

「<#>」制御文字は、文字の色や、縁取り・影の色を変更できます。色は16進数のRGB値で指定します。

  • 書式:<#[文字色RGB値][,縁取り/影色RGB値]>
  • 使用例:
    • <#ff0000>赤い文字<#>:文字を赤色にし、その後「<#>」でデフォルト色に戻します。
    • <#0000ff,ffff00>青い文字に黄色の縁取り:文字を青色、縁取りを黄色にします。

ワンポイントアドバイス:縁取りの色を指定する場合、AviUtlのテキストオブジェクト設定で「文字の種類」を「縁取り文字」または「縁取り文字(細)」に設定する必要があります。また、カラーコードは「原色大辞典」のようなサイトで確認すると便利です。

文字の座標を調整する「<p>」

「<p>」制御文字は、文字の表示位置(座標)を細かく調整できます。特に、文字と文字の間隔を詰める「カーニング」や行間調整に役立ちます。

  • 書式:<p[X座標],[Y座標]>(絶対座標)または <p+X,+Y>(相対座標)
  • 使用例:
    • <p-30,0>詰まった文字:X座標を-30移動させ、文字間を詰めます。
    • <p0,-50>行間を詰める:Y座標を-50移動させ、行間を詰めます。
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ワンポイントアドバイス:タイトルロゴや重要なテロップなど、視覚的な完成度を高めたい場合は、<p>制御文字を使ったカーニングで字間を微調整すると、プロ級の見た目に仕上がります。

表示をクリアする「<c>」

「<c>」制御文字は、それまでのテキスト表示をクリアし、新しいテキストを再表示させたい場合に利用します。

  • 書式:<c>
  • 使用例:
    • 最初のテキスト<c>次のテキスト:最初のテキストが表示された後、一度画面がクリアされ、次のテキストが表示されます。

制御文字を活用したテキストアニメーションの応用例

制御文字は、単なる文字の装飾にとどまらず、様々な動画シーンで効果的なテキストアニメーションを生み出すことができます。

テロップや字幕での活用

ニュース番組のようなテロップや、YouTube動画の字幕で、話者のセリフに合わせて文字が順に表示される「タイプライター演出」は、視聴者の視線を誘導し、内容への集中を高める効果があります。特に、重要なキーワードだけを瞬時に表示させたり、強調したい部分の色を変えたりすることで、情報伝達の効率を上げることができます。

歌詞表示での活用

音楽PVやカラオケ動画では、歌詞を歌声に合わせて表示させる際に制御文字が非常に役立ちます。歌い出しのタイミングで文字を瞬時に表示させ、サビの部分では文字を大きくしたり、色を変えたりすることで、楽曲の盛り上がりを視覚的に表現できます。

ゲーム実況や解説動画での活用

ゲーム実況動画で、キャラクターのセリフを吹き出し風に表示したり、解説動画で専門用語を強調表示したりする際にも制御文字は有効です。特に、ゲーム内のテキスト表示を再現するような演出は、視聴者に没入感を与えます。

動画編集におけるテキストアニメーションの重要性は、結婚式のエンドロールなど、感動を伝えるシーンでも同様です。例えば、ゲストの名前を流す際に、一人ひとりの名前がゆっくりと現れるような演出は、感謝の気持ちをより丁寧に伝えることができます。

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制御文字使用時の注意点とトラブルシューティング

制御文字は非常に便利ですが、いくつか注意すべき点があります。

入力ミスによる表示崩れ

制御文字は半角で正確に記述する必要があります。スペルミスや半角/全角の間違い、数値の誤りなどがあると、意図しない表示になったり、制御文字自体がテキストとして表示されてしまったりすることがあります。特に、閉じタグ(例: <#>)の記述忘れには注意しましょう。

オブジェクトの長さとの関係

「<r>」制御文字で表示速度を指定した場合、テキストオブジェクトの長さが、すべての文字を表示しきるのに十分な時間があるかを確認してください。オブジェクトの長さが短いと、途中で文字の表示が途切れてしまうことがあります。AviUtlの標準機能にある「オブジェクトの長さを自動調節」機能も活用すると良いでしょう。

「文字毎に個別オブジェクト」との使い分け

AviUtlのテキストオブジェクトには「文字毎に個別オブジェクト」という設定がありますが、「<r>」制御文字を使ったタイプライター演出など、多くの制御文字によるアニメーションでは、このチェックを外した状態(デフォルト)で利用することが推奨されます。 「文字毎に個別オブジェクト」にチェックを入れると、制御文字の効果が正しく適用されない場合があるため、注意が必要です。

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ワンポイントアドバイス:制御文字だけでは表現が難しい複雑なアニメーションや、より高度な動きをつけたい場合は、AviUtlの「スクリプト制御」や、外部スクリプトの導入も検討してみましょう。テキストオブジェクト内でLuaスクリプトを記述できる「<?~?>」制御文字もあります。

まとめ:AviUtl制御文字で動画表現の幅を広げよう

AviUtlの制御文字は、一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、一度その基本的な使い方をマスターすれば、あなたの動画編集の幅を大きく広げてくれる強力なツールです。特に、文字の表示速度をコントロールする「<r>」は、テロップや字幕、歌詞表示など、様々なシーンで活躍します。

本記事で紹介した「<r>」や「<w>」だけでなく、「<s>」でサイズやフォントを、「<#>」で色を、「<p>」で位置を調整するなど、他の制御文字も積極的に試してみてください。これらの機能を組み合わせることで、あなたのアイデア次第で無限のテキストアニメーションが生まれます。ぜひ、AviUtlの制御文字を使いこなし、視聴者の心に残る魅力的な動画を制作してください。

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