iMovieには、動画クリップの中から特定の1シーンを切り取って、まるで写真のように静止させて表示できる「フリーズフレーム」という強力な機能が搭載されています。この機能を活用することで、動画素材の中に含まれる決定的な瞬間や、視聴者に特に注目してほしいポイントを印象的に際立たせることができます。本記事では、iMovieのフリーズフレーム機能の基本的な使い方から、よりプロフェッショナルな表現を可能にする応用テクニックまで、動画クリエイターの視点から徹底解説します。
iMovieフリーズフレーム機能とは?その魅力と活用シーン
フリーズフレームとは、動画の流れを一時的に停止させ、その瞬間の映像を静止画として表示する機能です。これにより、動画に緩急をつけたり、特定の情報を強調したり、ユーモラスな効果を生み出したりと、表現の幅が格段に広がります。
フリーズフレームは、単に動画を一時停止させるだけでなく、視聴者の視線を特定の情報や感情に集中させるための強力なツールです。例えば、スポーツの決定的瞬間、感動的な表情、重要なデータ表示など、様々なシーンで活用できます。
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フリーズフレームの主な活用シーン
- 決定的瞬間の強調:スポーツのゴールシーンや、サプライズの瞬間など、一瞬の出来事をじっくり見せたい場合。
- 情報提示:グラフやテキスト、地図など、視聴者に読み取ってほしい情報を静止画として表示し、理解を促す場合。
- 感情の表現:登場人物の驚きや喜び、悲しみといった感情を、その表情を静止させることで深く伝える場合。
- ユーモラスな演出:コミカルな動きの途中で静止させ、笑いを誘う場合。
- ナレーションの補足:動画の進行を止め、ナレーションで詳細な説明を加える場合。

フリーズフレームは、動画のテンポを意図的に変えることで、視聴者の注意を引きつけ、メッセージを強調する強力な編集手法です。単調な動画にアクセントを加えたい時や、特定の情報を確実に伝えたい時に積極的に活用してみましょう。
iMovieで動画から一瞬を切り取り、写真のように静止させる基本手順
まずは、iMovieでフリーズフレームを適用する基本的な流れを見ていきましょう。非常にシンプルながら、動画の印象を大きく変えることができる機能です。
ステップ1:静止させたい動画クリップを選択する
タイムライン上で、フリーズフレームを適用したい動画クリップを一つ選択します。このクリップが、静止画を生成する元となります。
ステップ2:静止させたい正確なフレームを指定する
このステップが最も重要です。クリップを選択するだけでなく、そのクリップの中のどのシーンを写真のように切り取って表示したいのか、再生ヘッド(時間のインジケータ)を動かして正確に指定しましょう。ここで指定した一瞬のフレームが、静止画として動画に挿入されます。
再生ヘッドを細かく動かすには、キーボードの左右矢印キーを使うと便利です。これにより、1フレーム単位で正確な位置に調整できます。
ステップ3:フリーズフレームを適用する
再生ヘッドで静止させたいフレームを指定したら、iMovieの上部メニューから「変更」を選択し、「フリーズフレームを追加」をクリックします。これにより、指定したフレームが静止画として動画クリップの間に挿入されます。
この操作により、元の動画クリップはフリーズフレームの前後で自動的に分割されます。フリーズフレームはデフォルトで3秒間挿入されますが、後から自由に調整可能です。

フリーズフレームは、動画の途中に挿入されるため、全体の尺に影響を与えます。特に短い動画やテンポを重視する動画では、挿入位置と長さに注意しましょう。
フリーズフレームの継続時間と表示フレームを細かく調整する方法
フリーズフレームを挿入した後も、その表示時間や、どのフレームを静止させるかを柔軟に調整できます。これにより、より意図した通りの演出が可能になります。
継続時間を数値で正確に指定する
フリーズフレームを適用すると、プレビュー画面上部に速度エディタが表示されます。このエディタの「継続時間」の項目に、静止表示しておきたい秒数を直接入力することで、正確な時間を指定できます。1秒単位だけでなく、「3.2秒」のような0.1秒単位での入力も可能です。これは、効果音と同期させたい場合などに非常に便利です。
速度エディタで直感的にドラッグ調整する
より直感的に継続時間を調整したい場合は、速度エディタを利用します。フリーズフレームが適用されたクリップの右端に表示される「速度調整ハンドル」(小さな丸い点)をドラッグすることで、視覚的に長さを変更できます。この際、フリーズフレーム部分の右側のポイントをドラッグするようにしましょう。それ以外のポイントは、フリーズフレーム以外の部分の速度に影響を与えてしまう可能性があります。
静止させるフレームを後から変更する
フリーズフレームを適用した後でも、静止させるフレーム自体を変更することが可能です。フリーズフレーム部分に表示される「フレームの形をしたアイコン」を左右にドラッグすることで、静止画として表示するシーンを微調整できます。これにより、最初に選んだフレームが最適でなかった場合でも、簡単に修正できます。

フリーズフレームの継続時間を調整する際、効果音やBGMのタイミングと合わせることで、よりプロフェッショナルな印象を与えられます。特にシャッター音などを挿入する場合は、0.1秒単位の調整が重要になります。
フリーズフレームを解除・削除する方法
編集中は試行錯誤がつきものです。フリーズフレームを適用したものの、やはり元の動画に戻したい、という場合も簡単に解除できます。
速度エディタのリセット機能を使う
フリーズフレームを解除するには、フリーズフレームが適用されたクリップを選択し、プレビュー画面上部に表示される速度エディタの「メーターのアイコン(速度)」をクリックし、ドロップダウンメニューから「リセット」を選択します。これにより、そのクリップに適用された速度調整(フリーズフレームを含む)がすべてリセットされ、元の状態に戻ります。
ショートカットキーで一つ前の操作に戻る
もし直前の操作でフリーズフレームを適用したばかりであれば、キーボードの「Command + Z」キー(Macの場合)を押すことで、一つ前の操作に戻り、フリーズフレームの適用を取り消すことができます。これは、様々な編集作業において非常に役立つショートカットです。
カメラのフラッシュ効果付きフリーズフレームでより印象的に
iMovieには、単に静止させるだけでなく、まるでカメラで写真を撮ったかのようなフラッシュ効果を伴ってフリーズフレームを挿入する機能も備わっています。これにより、よりドラマチックでプロフェッショナルな演出が可能です。
「フラッシュして最後のフレームをフリーズ」機能とは
動画の中からカメラで撮影したかのような効果と共にワンシーンを切り出したい場合、iMovieの上部メニューにある「変更」から「フラッシュして最後のフレームをフリーズ」メニューを適用します。この機能を使うと、動画の分割と同時に、白にフェードするエフェクトが自動的に追加されます。
Ken Burnsエフェクトとの連携で写真らしさを演出
この方法でフリーズフレームを適用すると、静止画として表示する部分が独立したクリップとして切り出され、さらに「Ken Burnsエフェクト」が自動で適用されます。Ken Burnsエフェクトとは、静止画にゆっくりとしたズームやパンの動きを加えることで、写真に生命感を与える効果です。 これにより、単なる静止画ではなく、より「写真らしい」動きのある表示を作り出すことができます。
Ken Burnsエフェクトは、静止画の開始位置と終了位置を調整することで、ズームイン・ズームアウトやパンの方向を自由にカスタマイズできます。これにより、写真のどの部分に注目させたいかを細かくコントロールし、より効果的な演出が可能です。

「フラッシュして最後のフレームをフリーズ」は、特に動画のハイライトシーンや、重要なメッセージを伝える際に非常に効果的です。効果音と組み合わせることで、視聴者の記憶に残る印象的なシーンを作り出せます。
効果音を加えてフリーズフレームをさらに引き立てる
フリーズフレームの視覚効果を最大限に引き出すためには、適切な効果音の追加が不可欠です。特に「フラッシュして最後のフレームをフリーズ」機能とカメラのシャッター音は相性抜群です。
iMovie内蔵のカメラシャッター音を探す
iMovieには、デフォルトで豊富な効果音が収録されています。カメラのシャッター音に相当する効果音も含まれているため、外部から素材を探す手間が省けます。iMovieのプロジェクト画面で「オーディオ」タブに切り替え、検索窓に「camera」と入力すると、関連する効果音を簡単に見つけることができます。
効果音とフリーズフレームのタイミングを合わせるコツ
シャッター音などの効果音は、フリーズフレームが切り替わる瞬間に正確に配置することで、よりリアルでインパクトのある演出になります。タイムライン上で効果音クリップをドラッグし、フリーズフレームの開始点と音のピークが一致するように微調整しましょう。必要であれば、フリーズフレームの継続時間を0.1秒単位で調整し、効果音との完璧な同期を目指してください。
フリーズフレームを効果的に使うための応用テクニックとヒント
フリーズフレームは、単なる一時停止以上の可能性を秘めています。ここでは、プロの動画クリエイターが実践する応用テクニックをご紹介します。
ストーリーテリングへの活用
フリーズフレームは、物語の重要な転換点や、登場人物の心理描写を深めるために使えます。例えば、主人公が何かを決断する瞬間や、衝撃的な事実が判明する場面でフリーズフレームを挿入し、その間にナレーションやテキストで補足情報を加えることで、視聴者の理解と感情移入を深めることができます。
チュートリアル動画での活用
操作手順を解説するチュートリアル動画では、フリーズフレームが